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<スズケンDIアワー> 平成21年6月4日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報最近の話題(16)-インフルエンザ罹患時の異常行動に対する注意とその基礎知識-


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 抗インフルエンザ薬と使用の留意点

抗インフルエンザ薬について

 それぞれの薬の効果は、ひとりひとりの症状や体調によっても異なり、正しい飲み方、飲んではいけない場合、副作用への注意などがありますので、医療機関、薬局などできちんと説明を受けることが望まれます。なお、いわゆる「かぜ薬」と言われるものは、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。
 抗インフルエンザウイルス薬としては、タミフル(一般名:リン酸オセルタミビル)、リレンザ(一般名:ザナミビル水和物)、シンメトレル(一般名:塩酸アマンタジン)があります。
 抗インフルエンザウイルス薬を適切な時期(発症から48時間以内)に使用を開始すると、発熱期間は通常1日から2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。
 なお、インフルエンザの症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。
 次に解熱剤には多くの種類があります。15歳未満の子どもへの使用を避けるべきものとしては、アスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸があります。
 他の人に処方された薬はもちろん、本人用のものであっても、別の病気のために処方されて使い残したものを使用してはいけません。また、市販の解熱鎮痛薬やかぜ薬(総合感冒薬)の一部には、アスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛薬を含んだものがありますので、使用するときには医師・薬剤師によく相談してください。
 タミフル(一般名:リン酸オセルタミビル)は、A型またはB型インフルエンザの治療およびその予防として使用される医薬品であり、カプセルタイプとドライシロップタイプがあります。タミフルは、医師が診察の上、その必要性を判断して処方します。インフルエンザに感染したすべての患者がタミフルを服用する必要はないと考えられています。

緊急安全情報

 これまでにタミフルを服用した10歳代の患者が転落等により亡くなられた事例などが報告されています。このため、厚生労働省は、平成19年3月20日に予防的な措置として、タミフルの製造販売元である中外製薬株式会社に対し、医療関係者への緊急安全性情報の配布を指示しました。緊急安全性情報の内容は、「小児・未成年者は、本剤による治療が開始された後は、異常行動発現のおそれがあり、少なくとも2日間、小児・未成年者が一人にならないよう、患者・家族に説明すること」などとしています。
 タミフルの服用と異常な行動等との関係については、現在厚生労働省において、因果関係を究明するための検討を進めています。

インフルエンザ罹患時の異常行動に対する注意

 インフルエンザ罹患時の異常行動に対する注意としましては、インフルエンザウイルスに感染した場合、タミフルの販売開始以前においても異常行動の発現が認められており、また、まれに脳炎・脳症をきたすことがあるとの報告もなされています。これらのことから、インフルエンザと診断され治療が開始された後は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあると考えられます。そのため、万が一の事故を防止するために、特に小児・未成年者に対しては、インフルエンザと診断され治療が開始された後は、少なくとも2日間、保護者等の方が小児・未成年者が一人にならないよう配慮することが重要です。

インフルエンザ治療について

 今回の新型インフルエンザは、ヒトの間で長い間流行しなかった新しいタイプのインフルエンザウイルスによるインフルエンザのことです。現在、ニワトリなどにとって毒性の強い鳥インフルエンザウイルスH5N1の流行が収まらない中、遺伝子が変異してヒトからヒトに感染するタイプになる可能性が最も危惧されています。新型ウイルスにはほとんどの人が抗体をもっていませんので、もし流行した場合、爆発的に世界中で大流行(パンデミック)すると考えられています。かつて流行し今はヒトの間で消滅したインフルエンザウイルスが再び出現した時も、パンデミックとなり得ることが考えられています。大規模なヒトへの感染が起こり、甚大な被害が生じた場合を想定し、可能な限りの準備を進め、できるだけその被害を少なくするという危機管理の視点がもっとも重要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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