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<スズケンDIアワー> 平成21年6月18日放送内容より スズケン

血液透析患者におけるそう痒症改善剤 ナルフラフィン塩酸塩


東京女子医科大学東医療センター内科 教授
佐中 孜

 血液透析患者におけるそう痒症改善剤ナルフラフィン塩酸塩について、お話しします。

icon 透析患者の合併症

 透析患者の合併症のうち最も愁訴が多いのは、皮膚のトラブルです。
 群馬県のはっとり皮膚科医院の服部 瑛先生らの透析患者55名を対象にした、「皮膚疾患とその発現頻度に関する調査結果」では、透析患者の90.9%に乾燥皮膚(ドライスキン)が、83.6%にそう痒症が発現していました。服部先生は、透析患者に最も苦痛を与えている皮膚疾患は「そう痒症」であるとコメントし、透析患者のそう痒症をクローズアップしてきました。

かゆみの評価法

 新潟大学の下条篠先生らのグループは、2474名という多数の維持透析患者を対象に、かゆみの頻度とかゆみの程度、かゆみの部位、かゆみを感じる時期と時間帯、さらに、かゆみによる睡眠障害、かゆみの治療内容と治療の満足度などの大規模なアンケート調査を実施してきております。
 透析患者のかゆみの程度は、「かゆみのためにかなり掻く」、すなわち「かゆみ中等度」以上の患者は40.3%でした。また、かゆみのある患者の48.2%が睡眠障害を訴え、かゆみが透析患者のQOLを低下させていました。
 睡眠障害の程度を調べるため、この調査では、透析患者のかゆみの程度を(1)掻かずに我慢できる、(2)少し掻く、(3)かなり掻く、(4)かゆくてたまらない、の4段階に、睡眠の程度を(1)よく眠れる、(2)たまに目をさます、(3)ときどき目をさます、(4)かゆくてよく眠れないの4段階に分類しました。
 かゆみの程度と睡眠障害は相関する傾向があり、中等度以上のかゆみ(かなり掻く、たまらない)では、70.3%の患者が睡眠障害(たまに目をさます、ときどき目をさます、かゆくてよく眠れない)などを訴えていました。
 「かゆみ」は患者をイライラさせ、集中力を低下させ、仕事や勉強などの日常の生活に影響を及ぼすとされます。「透析患者のかゆみ」は、日常生活でも特に重要な「睡眠」へ影響を及ぼし、QOLを低下させることなどが明らかとなっています。
 しかしながら、この透析患者のかゆみを起こす原因は明らかにされていませんでした。最近の研究の結果、現在、三つのことが原因として考えられています。
 一つは、サブスタンスP、トリプターゼ、サイトカインなどのヒスタミン以外のケミカルメディエーターが関与している場合、二つ目は、外部からの刺激を容易に受けやすくなっている場合、そして最後に、内因性オピオイドが関与している場合の三つの原因が考えられています。その中で、内因性オピオイドが関与している場合について、お話しいたします。

 

提供 : 株式会社スズケン



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