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<スズケンDIアワー> 平成21年6月25日放送内容より スズケン

1日1回投与型徐放性マクロライド系抗生物質アジスロマイシン水和物


東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門 教授
渡辺 彰

icon 1日1回投与型製剤のメリット

 近年、抗菌薬療法の考え方がだいぶ変わって参りましたが、最近、それを象徴するお薬が新しく発売されました。本年(2009年)4月6日に発売されたアジスロマイシンの徐放性製剤がそれです。有効成分であるアジスロマイシン自体は、以前から250mg錠を1回2錠、1日1回内服で3日間、計1500mgの投与によって、効果が1週間持続する製剤として既に広く使われておりましたが、今回は成人用ドライシロップ製剤として2000mgを1回だけ内服して、同等かそれ以上の効果が得られる、という製剤です。
 本剤は、内服後に胃の中では殆ど吸収されずに小腸でゆっくり、しかし大腸に到達する頃には内服したほぼ全量が確実に吸収される製剤設計がなされた薬剤でもあります。肺炎や急性副鼻腔炎をはじめとする呼吸器科及び耳鼻咽喉科領域の感染症、さらには淋菌感染症にも適応があり、しかもそれらを1回だけの内服で治療する薬剤です。
 経口抗菌薬はこれまで、1日に数回、それを数日間から1週間前後内服するのが普通でしたが、なぜ、1回だけでよいお薬が出てきたのでしょう。患者さんがお薬を飲む際の利便性だけではありません。もちろん、そのことと大いに関連はありますが、臨床効果を最大限に上げ、なおかつ耐性菌の出現・増加を最大限抑えるのには、この1回だけで完結する治療法、服用法が最も効果的だからです。

世界的服薬コンプライアンス調査

 しかし、お薬の飲み方によって臨床効果や耐性菌の出方がどう変わるのでしょうか?いや、その前に、先生方の患者さんが一体どれだけきちんとお薬を飲んでいるのか、飲んでいないのか、を見てみましょう。ちなみに、服薬をきちんと行うことを服薬遵守(服薬コンプライアンス)と言います。

服薬コンプライアンス

 Cockburnの報告によれば、経口抗菌薬をきちんと規定通りに全部飲んだ服薬遵守率は、1日の投与回数によって大きく異なってきます。すなわち、1日1回投与における95.2%の服薬遵守率は、服薬回数が2回、3回、4回に増えるとそれぞれ76.2%、75.3%および58.4%に落ちてしまいます。1日4回飲むお薬では、実に40%以上の人がきちんと飲んでおりませんので、抗菌薬の1日投与回数が多いほど服薬コンプライアンスは低下する、ということになります。また、必要な治療期間が長いか短いか、によって服薬遵守率が大きく変わることも分かって参りました。抗菌薬の投与量と投与期間を2つに分けて前向きに比較したSchragらの臨床試験は、服薬状況も調査するといういわばよく管理された環境下で行われた試験ですが、1日目に99%だった服薬遵守率は5日目と10日目にはそれぞれ82%と74%に低下していました。そのような監視がない状態で調査したBergmanの報告では、治療期間が3日の場合に44%だった服薬遵守率が、6日および9日ではそれぞれ29%および18%と大きく低下していました。以上をまとめますと、抗菌薬の1日投与回数が多いほど、また必要な治療期間が長いほど服薬コンプライアンスは低下する、と言えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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