<スズケンDIアワー> 平成21年7月2日放送内容より |
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国立国際医療センター国府台病院 第二病棟部長
齊藤 万比古 本日は、注意欠如・多動性障害、ADHDの診断・治療ガイドラインを作成した者の一人としてアトモキセチン(商品名ストラテラ)がわが国二番目のADHD適応薬として登場した現時点でのADHD診療のあり方をお話したいと思います。
ADHDはDSM-IV-TRでは注意欠陥/多動性障害あるいは注意欠如・多動性障害、ICD−10では多動性障害と呼ばれる発達障害一つです。その主症状としては気が散りやすい、ケアレスミスが多いといった「不注意」、動きが多い、そわそわしているといった「多動性」、唐突な行動が多いといった「衝動性」があげられています。このADHDの治療・支援にあたっては、まず正確な診断が必要とされており、それなしにいきなり薬物療法に入るべきではありません。 なぜかと申しますと、現在ADHDの診断のための客観的根拠となる生物学的なマーカーが見出されていないからです。ですから診断は、いくつかのマーカーとして設定されている症状リストにあてはまるか、さらに障害概念を規定するいくつかの必要条件を満たすかという評価を行って、症状を含むすべての条件をクリアした場合に初めて診断が確定するという操作的診断法にしたがわなければなりません。 以上のような診断アルゴリズムにしたがって診断のための面接を行っていくわけですが、できるだけ診断医師による基準のブレが出てこないように、評価スケールや半構造化面接用フォームを使うことをわが国のガイドラインでは推奨しています。また脳波や画像などの医学的検査や心理テストを適切に組み合わせて、鑑別診断に役立てます。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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