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<スズケンDIアワー> 平成21年7月2日放送内容より スズケン

注意欠陥/多動性障害治療薬 アトモキセチン塩酸塩


国立国際医療センター国府台病院 第二病棟部長
齊藤 万比古

icon 診断・治療ガイドライン

 診断・治療ガイドラインでは、わが国のADHD診療の現状から、プライマリケアで担っていただきたい診療として、第一に親を子どものサポーターと位置づけた、支援者同士の打ち合わせとも呼べる親ガイダンス、第二に子どもの支援をめぐる担任教師などとの打ち合わせである学校との連携、そして第三に良い関係の中で子どもが自主的に自分の衝動性と取り組むことができるように支える子どもとの面接、そして最後に薬物療法を挙げております。

薬物療法選択フローチャート

 薬物療法は、不注意、多動性、衝動性などのADHD症状によって不利益をこうむっている状況が、心理社会的な支援だけでは期待したような改善を得られないとき、あるいはADHD症状が非常に深刻化し、一日でも早く症状を緩和しないと深刻な結果が予測されるときに選択するものです。それをDSM-IV-TRの第4軸である「機能の全体的評定尺度」すなわちGAF尺度で表現すると、前者はGAF値が50以上60未満の場合であり、後者は50未満の場合といってよいでしょう。

icon ADHDの病態

神経生物学的基盤とAD/HD症状の相関

 薬物療法について理解するためにはADHDの病態を承知しておく必要があります。近年の脳科学研究の進展により、ADHDの有力な病態として、前頭前野が関与する実行機能と、前頭葉眼窩面や前帯状回が関与する報酬系機能の障害が注目されています。
 実行機能はワーキングメモリーの関与のもと、目的にかなった思考や行動を組み立て表現する機能で、報酬系機能とは心地よい刺激を追い求める機能とされますが、より大きな快感、すなわち遅延報酬のために、目先の刺激を無視して待つということにも関わる能力です。
 これらの機能にはドーパミン神経系とノルアドレナリン神経系が関与していることがわかっており、現在のADHDの薬物療法がターゲットとしているのは、これらの神経系への作用です。
 ご存知のとおり、ADHDの薬物療法は長い間適応薬のないまま、メチルフェニデートを中心に行われてきました。しかし昨年初めより長時間作用型メチルフェニデート剤が適応薬として発売され、ようやく適応薬のあるADHD治療が開始しました。しかし、諸外国と異なり、適応薬が1剤のみという状況は薬物療法の幅を狭め、長時間作用型メチルフェニデート剤が使えない子どもには薬物療法が難しいという状況が問題となっていました。しかし、今回アトモキセチン剤(商品名:ストラテラ)が中枢刺激薬ではない薬剤として発売されることとなり、ようやく複数の選択肢から薬物療法を組み立てることが可能になりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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