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<スズケンDIアワー> 平成21年7月9日放送内容より スズケン

超速効型インスリンアナログ製剤 インスリングルリジン


JR東京総合病院内分泌代謝科 担当部長
山下 滋雄

icon 超速効型インスリン製剤の登場

超速効型インスリンアナログの皮下からの吸収

 2001年、ヒトインスリンのアミノ酸配列に人工的な変更を加えた超速効型インスリンアナログ製剤が2種類登場しました。それがインスリンリスプロと、インスリンアスパルトです。
 レギュラーインスリンがピークに達するまで2時間要していたところを、超速効型インスリンアナログでは、40分ほどでピークに達するようになったのです。やがて、中間型インスリンよりも安定した効果を示す持効型インスリンが2種類、デテミルとグラルギンが発売され、ここ数年でbasal-bolus療法は、各食前レギュラーインスリン+眠前中間型インスリンの4回法から、各食前超速効型インスリンアナログ+眠前持効型インスリンアナログへと、その処方割合が移りつつあります。レギュラーインスリンの場合には、食事の30分前に注射しなければならなかったところが、超速効型では食事の直前に注射しても、レギュラーインスリンよりも早い作用の発現を認め、患者のQOL改善に大いに貢献しています。
 先行して発売された2種類の超速効型インスリンアナログ製剤は、いずれも二量体を形成しやすいインスリン分子の特性に注目し、二量体を形成しにくいようにインスリンのアミノ酸配列に変更が加えられています。レギュラーインスリンは、溶液中ではインスリン分子が6個集まった六量体構造をとっています。皮下注射されると六量体が3つの二量体に解離し、さらに二量体が単量体に解離してから毛細血管に吸収されます。これに対してインスリンリスプロとインスリンアスパルトは、溶液中では亜鉛を構造の中心に持つ六量体として存在していますが、皮下注射されると二量体を経ずすぐに単量体となるため、レギュラーインスリンよりも早く吸収され、血糖降下作用を発現します。
 このたび発売されたグルリジンは、亜鉛非存在下に、安定した単量体として溶液中に存在しているため、皮下投与後、速やかに血中へ吸収され、速やかな作用発現が期待できます。

ヒトインスリンおよび超速効型インスリンアナログの構造式

 ヒトインスリンのB鎖28位のプロリンとその前後のアミノ酸を修飾すると、単量体から二量体への重合が阻害されることがわかっています。B鎖3位アスパラギンの修飾も、負電荷を帯びているアスパラギンの除去によって正電荷を帯びている亜鉛との反応が阻害されるため、単量体の重合を阻害することがわかっています。これらの知見に基づき、それぞれの超速効型インスリン製剤は、ヒトインスリンの異なる位置のアミノ酸を改変することにより、速やかな効果発現を可能にしています。
 グルリジンの場合は、B鎖3位アスパラギンをリジンに、B鎖29位のリジンをグルタミンに改変することにより、単量体から二量体への重合と、亜鉛との反応による単量体の重合の両方が阻害される結果が得られています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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