<スズケンDIアワー> 平成21年7月16日放送内容より |
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千葉大学大学院精神医学 教授
伊豫 雅臣
今回の本題であるリスペリドン持続性注射薬(商品名コンスタ)が本年(2009年)6月中旬に上市されました。この注射薬には3つの特徴があり、これらが臨床的にも大きな特徴となります。即ち、ひとつ目が、従来の持効性注射薬が脂溶性であったのに対して水溶性であること、二つ目が、初めての、そして唯一の非定型抗精神病薬の持効性注射薬であること、三つ目が、血液中に薬が溶け出してくるまでに約3週間と時間を要することです。 まず、水溶性であるという点での臨床上の特徴は、注射部位での痛みが少ないことです。報告では約80%の人で痛みがないと答えたとなっています。また、発赤や腫脹、硬結もほとんどないと報告されています。これは脂溶性であった従来の持続性注射薬との大きな違いです。 次に新しい非定型抗精神病薬リスペリドンの持効性注射薬であるという点です。新しい非定型抗精神病薬であるリスペリドンは我が国では1996年に上市され、現在では広く使用されている薬剤です。統合失調症の主要な症状は陽性症状と陰性症状に分けられますが、陽性症状に対しては従来薬と同様に非常に有効であり、一方、陰性症状には従来の薬とは異なり、有効であることが知られています。 さらに薬剤性パーキンソン症候群や遅発性ジスキネジアなどの錐体外路系への副作用も従来薬に比べれば少ない薬剤です。リスペリドンの持効性注射薬はこのような陽性症状、陰性症状への効果、並びに、副作用発現の少なさに関する特徴を受け継いでいます。 また、持効性薬は毎日内服する経口薬に比べて血中濃度が安定しているため、臨床的な作用も安定しており、報告ではリスペリドンの経口薬よりも有効性は高く、副作用も少ない可能性が報告されております。 リスペリドンでは副作用として高プロラクチン血症が時に問題となりますが、持効性注射薬に切り替えると血中プロラクチン濃度が低下することが報告されております。このように有効性にしても副作用の少なさにしても期待が持たれます。 さて、血中に薬が溶け出してくるまでに3週間近くを要するという点です。溶け出してくるまでに約3週間かかるため、臨床的にも効果が発現するのに約3週間を要します。ただ、これに関しては注射を開始して最初の3週間は内服を継続していただくということで問題はないと思われます。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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