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<スズケンDIアワー> 平成21年7月23日放送内容より スズケン

乳がん治療薬ラパチニブトシル酸塩水和物


聖路加国際病院ブレストセンター センター長
中村 清吾

 本日は、わが国で今年(2009年)4月に承認され、6月に発売を開始した、ラパチニブ(商品名:タイケルブ)というHER2陽性乳癌を対象にした経口の分子標的薬についてご紹介します。

icon 乳癌治療の現状

 乳癌は現在、年間4万人以上の人が罹患しており女性の癌の中ではもっとも高い発症率となっています。また、死亡者数は、大腸癌・胃癌・肺癌に次いで年間10,000人以上で、全体で第4位となっています。
 乳癌は、癌の中では、比較的予後がよいといわれており、多くの場合、抗がん剤あるいはホルモン剤による薬物療法が有効です。しかし、なかには増殖スピードの早い細胞も存在し、このような細胞の表面には、増殖に必要な信号を取り込むための受容体が複数存在し、これらによって増殖シグナルが活発に取り込まれ、細胞増殖が促進されます。この受容体の代表格が、HER2受容体であり、HER2陽性細胞とは、細胞膜の表面にHER2蛋白が過剰発現している状態として認識されます。
 かつて、HER2陽性乳癌は、効果が期待できる薬物療法が少なく、進行も早いため、予後の悪い癌として認識されてきました。ところが2001年以降、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)というHER2をターゲットとするモノクローナル抗体である薬剤が登場することにより、状況は一変しました。HER2陽性患者の50%以上に対し効果が認められ、また他の抗がん剤との併用で、術後の再発予防としての効果も複数の臨床試験で認められました。このことによりHER2陽性乳癌の予後は大幅に改善し、わが国でも2008年2月より、術後補助療法に適応が拡大され、現在の標準療法に組み込まれています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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