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<スズケンDIアワー> 平成21年7月23日放送内容より スズケン

乳がん治療薬ラパチニブトシル酸塩水和物


聖路加国際病院ブレストセンター センター長
中村 清吾

icon ラパチニブの作用機序

 本日の話題であるラパチニブは、HER2に加えてHER1すなわちEGFRという2つの受容体蛋白をターゲットにした薬剤です。

名称・構造式

 ラパチニブは、分子量が小さいため、細胞膜を通過し細胞内に入り、HER1とHER2という2つの受容体に共通のチロシンキナーゼドメインに直接結合して作用します。すなわち、2つの受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害することで、下流のシグナル伝達が抑制され、腫瘍細胞の増殖抑制、あるいは、アポトーシスを誘導することが、基本的な作用機序です。

効能・効果

 HER1すなわちEGFRは肺癌などの患者で過剰発現が認められているのに対し、HER2は、乳癌や胃癌患者での腫瘍細胞表面において過剰発現が認められることが知られており、その頻度は乳癌では原発性の患者の約15%、転移乳癌においては、20%−30%の患者に認められます。
 ラパチニブはHER2過剰発現の乳癌患者に対して臨床効果が証明されています。
 今回発売されたラパチニブの適応ですが、カペシタビンとの併用において、HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌、となっています。
 またその対象は、トラスツズマブ、アントラサイクリン、タキサン系薬剤による化学療法を既に実施した患者となっています。なお、再発の初回治療、術後術前補助療法での適応は認められていません。したがって、転移乳癌患者で、トラスツズマブによる治療で効果のない患者、および治療中に増悪した患者が対象になります。

ラパチニブの作用機序

 トラスツズマブは、抗体のため細胞外のみで作用するのに対し、ラパチニブは小分子であり細胞内で作用します。そのため、乳癌では主にHER2蛋白をターゲットにはしていますが、ラパチニブはトラスツヅマブとは一部異なる作用機序を有しています。そこで、トラスツズマブによる治療で効果が見られない、あるいはトラスツマブによる治療で増悪した患者さんに効果のある可能性があります。

用法・容量

 ラパチニブの用法用量は、カペシタビンとの併用として、1,250mg1回5錠を1日1回、食事の前後1時間を除き、服用することを指示します。一方、カペシタビンは、朝晩、2回、食後30分以内に、1回1000mg/㎡の用量で、患者さんの体表面積に合わせた錠数を処方します。またカペシタビンは、2週投与1週休薬ですが、国内において承認されているカペシタビンの2週投与1週休薬投与法よりも、低用量になっていますので注意が必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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