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<スズケンDIアワー> 平成21年8月6日放送内容より スズケン

細胞培養日本脳炎ワクチン


国立成育医療センター 総長
加藤 達夫

icon はじめに

 本日は、今春認可され、2009年6月より供給が開始されております乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、いわゆる新型の日本脳炎ワクチンについて説明させていただきます。
 日本脳炎の定期予防接種については、従来の日本脳炎ワクチンの接種後の副反応に関する懸念から2005年5月以降厚生労働省の「積極的勧奨の差し控え」の勧告により接種の際には説明書を配布し、同意書を得るなど慎重を期した実施が求められております。この度の新ワクチンの供給開始を受け、厚労省は2009年6月2日に日本脳炎の予防接種実施規則の一部改正を通知し、新型ワクチンは定期接種第1期に用いることが可能となりました。ただ、当分の間はワクチンの供給が十分ではなく、「積極的勧奨の差し控え」の措置は当面継続されることとなりました。新型ワクチンはその特性から従来品に比べ安全性が更に向上していると考えられますが、今後市販後の調査により追加接種における有効性、安全性が確認されるとともに供給体制が整えば、「積極的勧奨の差し控え」の措置は解除されるものと期待されます。

icon 日本脳炎について

日本脳炎患者数の推移

地域別日本脳炎地域別報告数

 日本脳炎は日本脳炎ウイルスを保有する主にコガタアカイエカに刺されることにより感染、発症するウイルス感染症で、重篤な急性脳炎を起します。国内の日本脳炎患者発生は、1960年代までは年間1,000人を超えていましたが、ワクチンの普及と生活環境の改善による媒介となる蚊の減少等により1970年代以降は年間100人以下の報告数となり、近年では西日本を中心に年間10人程度まで減少しています。日本脳炎はヒトからヒトへの感染はなく、ウイルスを持つ蚊に刺されて感染しても日本脳炎を発病するのは100人〜1,000人に1人程度とも言われており、大多数は不顕性感染で無症状に終わります。しかし、未だ特異的な治療法はなく、脳炎を発症するとその致死率は20〜40%と言われており、また痙攣、麻痺、精神発達遅滞など神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、全治例は発症者全体の約1/3と言われています。

日本脳炎の分布地域

 また、現在でも日本脳炎は東南アジア、インドなどを中心にしばしば流行を起こしており、世界的には現在でも年間3〜4万人の患者が報告されています。そして地球温暖化の影響か、1995年には患者報告がなかったオーストラリア北部でも患者が報告されるなど発生地域の拡大が危惧されています。交通機関の発達に伴い海外交流の機会が激増した今日、我々日本人にとっても日本脳炎の感染リスクは決して低いものではありません。

 

提供 : 株式会社スズケン



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