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<スズケンDIアワー> 平成21年8月6日放送内容より スズケン

細胞培養日本脳炎ワクチン


国立成育医療センター 総長
加藤 達夫

icon 日本脳炎ワクチン(予防接種)の現状

 今申しました通り、その治療の困難さから日本脳炎は予防がもっとも重要な疾患であり、日本脳炎の予防にはワクチン接種がもっとも有効な手段です。

日本脳炎定期予防接種スケジュール

 従来の日本脳炎ワクチンはウイルスの培養にマウス脳を用いた不活化ワクチンでしたが、その有効性はすでに世界的にも評価されてきました。近年の日本脳炎確定患者の解析によりますと、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったことが判明しています。わが国では日本脳炎の予防接種は定期接種第1期として生後6月〜90月未満が対象とされており、通常3歳に6〜28日間隔で2回、さらに概ね1年後に1回の計3回、各0.5mL、を皮下接種し基礎免疫とします。なお、生後6月〜3歳未満に接種する場合は1回の接種量は0.25mLです。そして第2期として通常9歳に1回の追加免疫の接種機会が設定されています。勿論対象年齢以外の者も任意接種による接種は可能です。

日本脳炎ワクチンをめぐる動き

 冒頭で触れましたが、日本脳炎の定期予防接種は、2005年5月下旬のワクチン接種後の重症ADEM(急性散在性脳脊髄炎)症例の健康被害救済認定を受け、その後の厚労省の勧告に基づき積極的勧奨の差し控えが続いています。一方、2005年当時には今回承認された細胞培養型ワクチンの開発の目処が立ち、同年5月から6月にかけて製造販売承認申請が行われました。厚労省もこの新型ワクチンが供給可能となった時点であらためて日本脳炎の予防接種の取り扱いについて検討する意向を示しました。
 このような背景の中、新型ワクチンが認可されました。しかし、先の勧奨差し控えによる未接種者の累積は膨大なもので、新型ワクチンの供給開始当初においてはワクチンの供給面で混乱を来たす可能性があること、そして後で述べますが、新型ワクチンの臨床試験成績では良好な結果でしたが、臨床試験では症例数が限られていることや第2期接種以降の追加免疫の成績が確認されていないことなどから、厚労省は全面的な接種の再開に慎重な姿勢を示し、追加免疫の臨床成績の検証とワクチンの十分な供給体制が整うまで接種差し控えの措置を当面継続することとしました。

icon 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの特徴

 さて、細胞培養日本脳炎ワクチンについて説明します。従来の日本脳炎ワクチンも有効性、安全性ともに非常に優れたワクチンと言われておりますが、ウイルスを増殖させる材料としてマウスの脳を使用することから、品質管理上の問題や動物愛護の問題などいくつかの問題点が指摘されていました。特に先ほど触れました接種後のADEMの発生要因の一つとしてマウス脳との関連が推察されており、以前から新しい培養法によるワクチン開発が求められてきました。
 細胞培養日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルス北京株をVero細胞に感染させ増殖したウイルスを回収し、濃縮、ホルマリンで不活化した後精製したものをワクチン原液とした凍結乾燥製剤で、チメロサールや2PEなどの保存剤は使用していません。ウイルスの増殖に用いるVero細胞はアフリカミドリザル腎臓由来の株化細胞で、海外ではすでに不活化ポリオワクチンや狂犬病ワクチンの製造などで使用実績があり、その有用性や安全性は高く評価されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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