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<スズケンDIアワー> 平成21年8月20日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(27)日本大学薬学部薬事管理学


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送でお伝えした品目以降に薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

icon インテレンス錠とシーエルセントリ錠の薬価算定根拠

インテレンス錠の算定根拠表

シーエルセントリ錠の算定根拠表

 はじめは、インテレンス錠です。有効成分は、エトラビリンで、ヤンセンファーマの開発です。エトラビリンは、HIV逆転写酵素阻害作用を有し、「HIV-1感染症」を効能・効果とします。効能・効果、薬理作用等が同一のデラビルジンメシル酸塩の製剤であるファイザーのレスクリプター錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、治療選択肢が限られている多剤耐性HIV感染患者に対して有効性が認められており、新たな選択肢となり得るという点で、「治療方法の改善」が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、患者におけるプロテアーゼ阻害剤に対する耐性の有無と本剤の有効性の関係等について、製造販売後の情報収集が求められていることを考慮し、評価は限定的なものとされました。また、本剤は希少疾病用医薬品であり、市場性加算(I)の適用が認められると判断されましたが、類似の薬理作用を有する抗HIV薬は薬価基準に既に多く収載されていることを踏まえ、評価は限定的なものとされました。
 次は、シーエルセントリ錠です。有効成分は、マラビロクで、ファイザーの開発です。マラビロクはCCケモカイン受容体5阻害作用を有し、「CCR5指向性HIV-1感染症」を効能・効果とします。同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は、CCR5阻害作用によるHIV細胞内侵入を阻害するという新規作用機序を有し、既存の抗HIV薬に治療抵抗性のある患者への有効性が海外臨床試験で示されており、この点において革新性が認められると判断されました。ただし、長期投与におけるCCR5指向性HIV−1の変異による有効性への影響について、市販後の情報収集が求められていることを考慮し、平均的な営業利益率プラス20%の営業利益率、すなわち23.0%を用いることとされました。

 以上の2成分2品目は2009年1月14日の中医協総会で審議され、1月16日に薬価基準に緊急収載されました。

icon トレリーフ錠とレミッチカプセルの薬価算定根拠

トレリーフの薬価算定表

レミッチカプセルの薬価算定表

 次は、トレリーフ錠です。有効成分は、ゾニサミドで、大日本住友製薬の開発です。ゾニサミドは、B型モノアミン酸化酵素阻害作用及びドパミン増加作用を有し、「レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合のパーキンソン病」を効能・効果とします。効能・効果、薬理作用等が類似する塩酸セレギリンの製剤であるエフピー社のエフピー錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、既存治療で効果が十分でなかった患者において運動機能の改善が示されており、治療方法の改善が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、パーキンソン病の症状が時間帯によって発生すること(wearing-off現象)を抑制するデータが得られていないことを考慮し、評価は限定的なものとされました。
 次は、レミッチカプセルです。有効成分は、ナルフラフィン塩酸塩で、東レの開発です。ナルフラフィン塩酸塩は選択的オピオイドκ受容体作動作用に基づく鎮痒作用を有し、「既存治療で効果不十分な場合の血液透析患者におけるそう痒症の改善」を効能・効果とします。同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により算定が行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は、オピオイドκ受容体作動作用という新規作用機序により、既存の抗アレルギー薬等に治療抵抗性の血液透析患者におけるそう痒症の症状を軽減することが認められていますが、国内臨床試験で示されている症状軽減の程度が一定程度であることから、平均的な営業利益率プラス20%の営業利益率、すなわち23.0%を用いることとされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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