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<スズケンDIアワー> 平成21年9月3日放送内容より スズケン

第12回日本医薬品情報学会総会・学術大会から


九州大学病院薬剤部 教授
大石 了三

icon 特別講演・教育講演から

特別講演・教育講演

 本大会の特別講演としては、九州大学病院長の久保千春先生に「うつと不安の最新の考え方」と題してお話いただきました。そのなかで、精神疾患だけでなく多くの慢性疾患においてうつと不安を抱えている患者が非常に多く、それが疾患の悪化あるいは治療の妨げになっていることをデータに基づき説明いただきました。悪性腫瘍における精神的ケアの重要性についてはよく知られていますが、慢性疾患においても患者の精神的ケアが向精神薬の使用も含めて大変重要であることを再認識させられました。
 教育講演としては、まず国立成育医療センターの中島 研先生に「妊婦・授乳婦の薬物療法に関する情報」について講演いただきました。病院においても薬局においても妊娠と薬に関する質問は多く受けますが、データがなくかなり回答にこまっています。現在、日本においても情報収集を行う目的で国立成育医療センターを中心に事業が行われています。
 虎の門病院の林先生には「新様式インタビューフォームの医療機関における活用」について、また、慶應義塾大学の望月眞弓先生には「リスク最小化計画と医薬品情報」と題して教育講演をいただきました。お二方とも本学会の中心的な先生で、テーマの内容に加えて大きな視点での医薬品情報学に関する考え方を示していただきました。
 2会場で行われた一般講演も興味あるものが多く、質問も活発に行われていました。2つ挙げてみますと、徳島文理大学の発表「医薬品添付文書からは得られない内服薬懸濁時におけるpH情報の収集と配合変化情報の提供」は、555品目もの粉砕懸濁後のpHを調査し、配合変化の可能性を示したもので、今後情報を整備していけば、医療現場で非常に有用な情報となると思われました。また、東京大学からの発表「非ステロイド性消炎鎮痛剤の胎児毒性に関するPK/PD解析」は、ヒトの胎児動脈収縮作用を定量的に予測して、妊婦に対する投与の危険性を推測したもので、NSAIDの胎児毒性に関しての情報を補う価値があるものと思われました。

icon 医療現場に根差した医薬品情報

 本大会では慣例的に大会長講演が行われています。今回はメインテーマ 「医療現場に根差した医薬品情報」をタイトルとして講演させていただきました。本会の名誉会長であり、元九州大学病院薬剤部教授の堀岡正義先生は、退官記念講演で病院におけるDI活動の基盤づくりから今後の展開について話されており、その内容は薬事新報に掲載されています。現在にも通用するところが多く、また、DI活動の基盤が作られていった過程を若い方にも理解していただくことは有意義であると考え、その内容をもとに、DI活動の立ち上がりから普及、定着していった様子をまずお話させていただきました。とくに、1971年に堀岡先生が委員長となってまとめられた「DI活動の業務基準」は現在の業務内容の基礎的な部分をほとんど網羅しています。
 病院薬剤業務はこの数年で大きく拡大し、薬剤管理指導業務をはじめ、外来化学療法や感染制御、緩和ケア、ICUなど、他の医療従事者がいる現場での業務が増加しています。薬剤師への認識が高まるとともに、医療従事者からはさらに多くのまた専門的な医薬品に関する質問が現場にいる薬剤師になされてきます。このような高度なニーズへの対応は現場を担当する薬剤師だけでは到底できませんので、DI担当者は現場の薬剤師を強く支援していく必要があります。これらの活動により医療の質が向上し、患者に確実な成果をもたらすことができる、というようなお話をさせていただきました。

 2日間の学会は大変盛会だったと思います。おそらく今回初めて参加された方も満足いただけたのではないでしょうか。来年2010年の第13回日本医薬品情報学会総会・学術大会は静岡県立大学薬学部の山田浩教授を大会長として7月24-25日に浜松で行われます。今回初参加の方もぜひリピーターになっていただけるように期待しています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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