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<スズケンDIアワー> 平成21年9月10日放送内容より スズケン

ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬 ミルタザピン


ほくとクリニック病院 院長
澤 温

icon 抗うつ薬の歴史

 本日は新しい抗うつ薬、ミルタザピンについてお話します。
 抗うつ薬は、クロルプロマジンに続いて1957年に使われだしたイミプラミンに始まります。この構造はクロルプロマジンは六員環が3つ並んだ構造であるのに対して、3つのうちの真ん中が七員環になったものでした。第2世代がいわゆる四環系といわれるもので、マプロチリンは少し違いますが、ミアンセリン、セチプチリンにおいては真ん中が七員環までは同じですが、イミプラミンと違って七員環の逆側に六員環の環状構造がついて4つの環状構造が結合したものでした。
 三環系抗うつ薬の効果は比較的高いものの、便秘や口渇などの抗コリン作用が強い他、心毒性も高いため使いづらいものでした。四環系の抗うつ薬はそのような副作用は弱いのですが特にミアンセリンとセチプチリンは眠気が強く、仕事を続けながら治療するには不向きでした。しかし私の臨床経験では、うつ病に不眠はほぼ必発ですから、就寝前の1回投与などをすれば、睡眠薬も減らせ使いやすいものでした。
 その後、第三、第四世代のSSRIやSNRIが出てきて、特にうつ病患者で最も心配される自殺について、第一世代では心毒性があるため大量服薬により、生命への危険が高いことなどから、広く使われるようになりました。しかし、これも私の臨床経験ですが、最近言われるようなアクチベーションシンドロームなどで思わぬ攻撃性が出たりし、うつ病には反って使いにくく、パニック症状を含む不安障害や強迫性障害に使いやすいと考えておりました。

icon ミルタザピンの作用機序

ミルタザピン

 今回発売になりますミルタザピンは第二世代のミアンセリンやセチプチリンと構造的には極めて類似しており、真ん中の七員環の炭素とその横に並ぶ六員環の炭素が窒素に置き換わっている化合物です。

ミルタザピンの作用機序

 作用機序については、ミアンセリンやセチプチリンはα2受容体を介したノルアドレナリンの放出促進作用により、抗うつ効果を発揮し、ミルタザピンはミアンセリンやセチプチリンと比べてα1遮断作用が弱いため、ノルアドレナリンがセロトニン細胞体上に存在するα1受容体を介してセロトニン神経の発火促進を導くことができるdual actionがある抗うつ薬といわれております。

ミルタザピンの作用機序(2)

 また、5-HT神経はGABA神経細胞体の5-HT2受容体を介してGABA神経を活性化していますが、このGABA神経はNA神経細胞体に存在するGABAA受容体を介してNA神経の活性化を抑制しています。しかし、ミルタザピンは5-HT2受容体を遮断することによって、このGABA神経を介したNA神経に対する抑制系調節を解除しており、この機序も関与しているといわれております。

ミルタザピンの薬理作用から考えられる臨床効果

 ミルタザピンの作用機序と効果をまとめてみます。ミルタザピンは,シナプス前α2-アドレナリン自己及びヘテロ受容体にアンタゴニストとして作用し,脳内でのNAおよび5-HTの遊離を増大させ、5-HT2および5-HT3受容体拮抗作用により選択的に5-HT1A受容体への刺激を増強する、そして5-HT1A受容体への選択的作用と,5-HT2A/2Cおよびα2受容体へのアンタゴニスト作用といった複数のメカニズムを介して,DAの遊離を亢進させています。このようなメカニズムが抗うつ効果と抗不安効果を現し、さらに5HT2A受容体遮断作用が睡眠障害を改善し、H1受容体遮断作用が興奮や焦燥感を軽減して鎮静作用を現します。また5HT2C受容体遮断及びH1受容体遮断作用が食欲減退の改善に役立っています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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