<スズケンDIアワー> 平成21年9月10日放送内容より |
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ほくとクリニック病院 院長
澤 温
本日は新しい抗うつ薬、ミルタザピンについてお話します。
今回発売になりますミルタザピンは第二世代のミアンセリンやセチプチリンと構造的には極めて類似しており、真ん中の七員環の炭素とその横に並ぶ六員環の炭素が窒素に置き換わっている化合物です。 作用機序については、ミアンセリンやセチプチリンはα2受容体を介したノルアドレナリンの放出促進作用により、抗うつ効果を発揮し、ミルタザピンはミアンセリンやセチプチリンと比べてα1遮断作用が弱いため、ノルアドレナリンがセロトニン細胞体上に存在するα1受容体を介してセロトニン神経の発火促進を導くことができるdual actionがある抗うつ薬といわれております。 また、5-HT神経はGABA神経細胞体の5-HT2受容体を介してGABA神経を活性化していますが、このGABA神経はNA神経細胞体に存在するGABAA受容体を介してNA神経の活性化を抑制しています。しかし、ミルタザピンは5-HT2受容体を遮断することによって、このGABA神経を介したNA神経に対する抑制系調節を解除しており、この機序も関与しているといわれております。 ミルタザピンの作用機序と効果をまとめてみます。ミルタザピンは,シナプス前α2-アドレナリン自己及びヘテロ受容体にアンタゴニストとして作用し,脳内でのNAおよび5-HTの遊離を増大させ、5-HT2および5-HT3受容体拮抗作用により選択的に5-HT1A受容体への刺激を増強する、そして5-HT1A受容体への選択的作用と,5-HT2A/2Cおよびα2受容体へのアンタゴニスト作用といった複数のメカニズムを介して,DAの遊離を亢進させています。このようなメカニズムが抗うつ効果と抗不安効果を現し、さらに5HT2A受容体遮断作用が睡眠障害を改善し、H1受容体遮断作用が興奮や焦燥感を軽減して鎮静作用を現します。また5HT2C受容体遮断及びH1受容体遮断作用が食欲減退の改善に役立っています。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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