<スズケンDIアワー> 平成21年9月10日放送内容より |
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ほくとクリニック病院 院長
澤 温
これまで国内、海外で多くの臨床試験が行われてきております。国内では大うつ病を対象とした、ミルタザピンとプラセボの効果比較試験、さらにこの試験でミルタザピンを投与され、「ややよくなった」以上と評価され、続けて服用することを希望した人に1年間の長期投与試験が行われました。 プラセボ対照の第II相臨床試験では、HAM-D17合計スコアの改善においてプラセボに対するミルタザピン30mgの優越性は検証されました。 1年の長期投与試験では、投与8週後以降、HAM-D17合計スコアの平均値は7点以下で推移しました。またHAM-D17寛解率は107例中75例で70.1%でした。 みられた副作用は第II相試験でみられたものと同様で、その発現の多くは投与初期にみられました。海外ではその他の試験として、ミルタザピンと、アミトリプチリンおよびプラセボの効果比較試験が行われ、アミトリプチリンより投与1週目から有意な効果が見られております。また65歳以上の高齢者に対するパロキセチンとの効果比較試験では投与1週目から有意な効果を得ております。さらに重度でない認知症患者を含む85歳以上の超高齢者に対して投与した試験でもHAM-D、CSDDおよびCGIで
改善が見られたと報告されています。 パロキセチン、フルオキセチン、シタロプラムといったSSRIに無効であった患者に同じSSRIであるサートラリンとミルタザピンを投与したところそれぞれ改善を示したもののミルタザピンのほうが有意に高い効果をしました。 抗うつ薬の副作用についてまとめたものを示しますが、ミルタザピンは鎮静作用と体重増加のみが強いと言われておりますが、いずれも治療的とも考えられるものです。SSRIやSNRIと比べて消化器症状、不眠/焦燥、性機能障害の副作用がない点で優れております。しかし抗コリン作用を除きますと、ミアンセリン、セチプチリンとは似たプロファイルであることは化学構造が似ていることから理解しやすいものです。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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