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<スズケンDIアワー> 平成21年9月10日放送内容より スズケン

ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬 ミルタザピン


ほくとクリニック病院 院長
澤 温

icon ミルタザピン適応の具体的患者像

 これまでの話をまとめて、ミルタザピンはどのような患者さんに用いられるのか考えてみました。まず、第一に不安・焦燥の症状が強く表れている患者さんや不眠症状が表れている患者さんに用いると良いでしょう。ミルタザピンには強い抗不安効果と睡眠障害改善効果があります。HAM-Dスコアのファクター解析を行ったところ、ミルタザピンは国内第III相比較試験においてフルボキサミンに比較してファクターI、すなわち不安/身体症状のスコアと、ファクターVI、すなわち睡眠障害のスコアを投与1週目より有意に改善しています。さらに睡眠障害改善については、ミルタザピンが総睡眠時間と徐波睡眠を増加させ、睡眠の質改善にも影響することが報告されています。第二に高齢者の患者には安心して使えると思います。65歳以上の患者を対象としたパロキセチンとの比較試験において、ミルタザピンは投与1週目の早期からHAM-D17を有意に改善することが報告されています。また、ミルタザピンは肝代謝酵素阻害作用が弱く、薬物相互作用が少ないことが示唆されていることから、体の病気を持ちがちで他科の薬を飲まなければならない高齢者の患者さんに処方しやすい薬剤と考えられます。第三に重症の患者あるいは早急な効果が必要な患者に用いるべきと考えます。海外報告の中にありましたようにミルタザピンはメランコリー型の特徴を伴う重症うつ病患者に対する有用性が示され、また、HAM-Dにおける自殺関連項目スコア有意に改善することが示されているからです。第四にSSRIで効果不十分な患者に用いるのが良いと思います。ミルタザピンはこれまでの既存薬とまったく異なる作用機序を有していることから、既存薬で効果が得られなかった患者さんに対して有効である可能性があり、従って第一選択薬のSSRIで効果が得られなかった場合、用いるべきでしょう。
 日本ではうつ病が3年で50万人も増加しており、自殺者割合が世界で10位以内にはいっており、さらに自殺者のうちの3/4に精神疾患があり、そのうちの約半分はうつ病で、このうつ病患者の3/4が医療にかかっていないといわれています。うつ病の患者さんが正しく診断され、早期に回復して自殺に至らないためにこのたび発売になるミルザピンには大きな期待がかけられていると思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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