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<スズケンDIアワー> 平成21年10月1日放送内容より スズケン

高用量1日1回投与抗菌薬レボフロキサシン水和物


東邦大学微生物・感染症学 准教授
舘田 一博

icon PK/PDによるキノロンの投与

 ニューキロノン系薬は、最近のDNA抑制に関与しているDNAジャイレース、トポイソメラーゼIVなどの酵素を阻害することで殺菌作用を示します。キノロン系薬への耐性は、これら標的酵素が変異することで獲得されると言われています。

レボフロキサシン感受性分布と標的酵素の変異

 レボフロキサシン水和物の最少発育阻止濃度は、MICが1µg/mL以上を示す株の遺伝子変異を解析したところ、MICの増加とともに、標的酵素遺伝子における変異の蓄積が生じていることが明らかになりました。すなわちこの成績から、一部の菌ではありますが、既に遺伝子の変異が生じている耐性菌予備軍とも言える菌の存在が明らかになったのです。
 このような状況の中でレボフロキサシン水和物への耐性化を進展させない手だてが必要であり、そのための方策として、500mg1日1回投与法が導入されました。その科学的根拠になったのがPK/PD理論です。

キノロン薬で重要となるPK/PDパラメータ

 レボフロキサシン水和物のようなニューキノロン系薬は濃度依存性の殺菌作用を示し、1回投与量をふやし、最高血中濃度(Cmaxa)を高めながら血中濃度曲線化面積、いわゆるAUCを増大させることにより、その治療効果の向上が期待できます。また、同時に、Cmaxa 高めることにより耐性菌の出現抑制につながることもわかっています。

レボフロキサシンの肺炎球菌に対するPK/PDパラメータ

 肺炎球菌に対するレボフロキサシンの治療効果は、AUCをMICで割った値、AUC/MICが25から30以上必要であるとされています。また、耐性菌の出現抑制の観点からは、CmaxaをMICで割った値、Cmaxa/MICの値を5以上にすることで耐性菌の出現が見られなかったという結果が報告されています。これらの成績は、治療効果の向上と耐性菌の出現抑制を達成するためのPK/PDパラメータの指標として、AUC/MIC25から30以上、またCmaxa/MIC5以上が重要であることを示す成績と考えられます。
 では、レボフロキサシン水和物の用法・用量を100mgを1日3回投与から500mg1日1回投与にすることで、実際に治療効果の向上と耐性菌の出現抑制が達成できるでしょうか。以下に、基礎実験により検討した結果をご紹介いたします。

 

提供 : 株式会社スズケン



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