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<スズケンDIアワー> 平成21年10月8日放送内容より スズケン

経口カルバペネム系抗菌薬テビペネムピボキシル


北里大学北里生命科学研究所 教授
砂川 慶介

icon 臨床試験成績から

 本日はこの薬剤の開発の経緯、薬剤の特徴と使用方法について述べてみたいと思います。

TBPM,TBPM-PIの構造

 テビペネムピボキシルは、幅広い抗菌スペクトルを有し、多くの臨床分離株に対し、ペニシリン系、セフェム系抗菌薬より強く、注射用カルバペネム系抗菌薬と同程度の優れた抗菌力を示し、ペニシリン耐性肺炎球菌、マクロライド耐性肺炎球菌 およびインフルエンザ菌 に対しても強い抗菌力を有しております。

3種のPK-PDパラメーターと生菌数の関係

 今回の臨床試験にあたっては、薬剤の用法用量をPK-PD理論を活用して設定し、その有効性評価とPK-PD解析による設定の妥当性を臨床試験を通して確認しました。本剤はβ-ラクタム系抗菌薬でありながら、T>MICよりも、AUCf/MICに高い相関を示すという興味深い結果が得られております。また、本剤は小児での開発を優先するという事情から、成人での第II相試験で有効性、安全性、推奨用量が確認された後に、成人の第III相試験は実施せず、直ちに小児の臨床試験が開始されました。この試験では患児222例の血中テビペネム濃度を測定しました。第III相試験では重症例や難治または反復例に対する有効性ならびに小児急性中耳炎を対象としたセフジトレンピボキシルの高用量との二重盲検比較試験を実施しました。

疾患別臨床効果

 臨床推奨とした用法・用量は、体重Kgあたり4mgとして、1日2回としました。その有効率は、中耳炎98.2%、副鼻腔炎80.8%、肺炎100%、菌消失率は、中耳炎100%、副鼻腔炎96.2%、肺炎100%と優れた成績でありました。高用量とした6mg/kgの投与でも、例数が少なくなりますが優れた成績でした。終了時の細菌学的効果は、肺炎球菌はPC耐性菌の割合が半数を占めておりましたが、すべて陰性化し、消失率は100%、インフルエンザ菌はABPC耐性菌の割合が42.1%を占めましたが、菌消失率は98.1%で、「存続」と判定された2株はいずれも耐性株であり、テビペネム ピボキシルのMICは0.25μg/mLおよび1μg/mLでありました。
 臨床第III相一般臨床試験は推奨用法用量の4mg投与とし、対象疾患として中耳炎、副鼻腔炎、肺炎を設定しました。また、高用量の6mg/kgの1日2回投与は、中耳炎および副鼻腔炎では前治療無効例または反復例に対して、症状・程度に応じて投与を可能とし、肺炎については症状・程度に応じて投与することが可能としました。その結果、前治療無効例や反復例においても高い臨床効果を示しました。
 症例の中には重症度と相関する臨床検査項目であるCRP値が10mg/dL以上あるいは白血球数20000 /μL以上など、注射用抗菌薬治療の対象となるような症例が12例含まれましたが、これらの症例の臨床効果についても、全例が投与終了時に「有効」以上と判定されました。CRP値や白血球数が高く、入院して注射用抗菌薬の使用が考慮されるような重症例に対しても高い臨床効果を示し、注射剤治療も考慮されるような症例に対しても6mg(力価)/kg×2回/日投与群の早期効果が認められた結果でありました。

二重盲検比較試験の臨床効果

 第III相での二重盲検比較試験は、小児の急性中耳炎を対象に、4mg/kg 1日2回投与と「小児急性中耳炎診療ガイドライン」で中等症から重症の急性中耳炎に対し推奨されているセフジトレンピボキシルの高用量(4.2〜 < 6mg/kg 1日3回投与)を対照薬として実施しました。テビペネムピボキシル投与群の有効率は98.2%、菌消失率は100%であり、セフジトレンピボキシルの有効率92.6%、菌消失率98.5%よりもすぐれた成績でした。
 検出された原因菌に対する投与3日後の細菌学的効果は、テビペネムピボキシル投与群は98.2%、セフジトレン ピボキシル投与群は80.3%の消失率で、本剤は投与3日後に高い早期細菌学的効果を認め、特に肺炎球菌に対しては、100%の高い消失率を示し、セフジトレンピボキシルとの消失率の差が36.4%であり、有意に優れておりました。 また、テビペネムピボキシル投与終了時においては、投与3日後に存続していたインフルエンザ菌も含めて陰性化し、消失率は100%でありました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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