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<スズケンDIアワー> 平成21年10月22日放送内容より スズケン

緑内障・高眼圧症治療剤ビマトプロスト


京都府立医科大学眼科 講師
森 和彦

icon ビマトプロストの臨床成績から

 ビマトプロストは、2001年3月に開放隅角緑内障および高眼圧症を適応症としてアメリカで承認され、2009年7月現在では、イギリス、ドイツ等84の国と地域で承認されています。海外では数年に及ぶ臨床経験があり、他のプロスタグランジン製剤との比較を含めた数多くの臨床試験の報告があります。
 今回はそれらのうちの1つ、ビマトプロストとラタノプロストおよびトラボプロストを比較した臨床試験の報告をご紹介します。この試験では、原発開放隅角緑内障または高眼圧症の患者を対象とし、24時間の眼圧下降効果を調べています。
 無作為に点眼順序を割り振り、ビマトプロスト、ラタノプロストおよびトラボプロストの3種類の点眼薬をそれぞれ1日1回、1ヶ月間、夜に点眼し、各薬剤点眼終了後、次の点眼剤開始までの間に1ヶ月の休薬期間を置いています。それぞれの患者の薬剤点眼前と1ヶ月後の24時間の眼圧日内変動を測定し、3剤の眼圧下降効果を比較しています。なお、眼圧は午前6時から午前3時の間に3時間間隔で測定されています。
 その結果、3剤とも眼圧はベースライン、すなわち薬剤点眼前と比較して有意に下降していました。また、点眼後の平均眼圧下降値は3剤でほぼ同等で、薬剤間で有意差は認められませんでした。しかし、ビマトプロストは昼間の眼圧下降効果が他剤と比べてやや強い傾向がありました。
 以上、この他にも海外データとしてビマトプロストとラタノプロストおよびトラボプロストを比較した臨床報告が多数あります。それらの報告を見渡してみると、眼圧下降効果に関しては、ビマトプロストがそれら2剤と同等という報告や、より強力であるという報告が混在しています。このことは、ビマトプロストの眼圧下降効果が他のプロスタグランジンよりもやや強いという評価の現われかもしれません。
 続いて、国内で行われた2つの臨床試験の成績についてご紹介します。
 1つ目は、原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者77例を対象に、ビマトプロストを1日1回、夜に点眼することとし、12週間投与したものです。

眼圧下降効果(12週):眼圧変化値

 その結果、眼圧は投与前と比較して2週間後から有意に下降しており、投与12週後までその効果は安定していました。

眼圧下降効果(12週):眼圧下降率達成率

 緑内障治療の際には目標眼圧として、無治療時眼圧からの眼圧下降率30%ないし20%が推奨されていますが、今回のデータでは投与12週後における眼圧下降率30%達成率が70.4%、20%達成率が85.9%と非常に高率でした。
 次に、長期投与試験の結果をご紹介します。

眼圧下降効果(52週):眼圧値

 原発開放隅角緑内障、高眼圧症および正常眼圧緑内障患者136例を対象に、ビマトプロストを1日1回、夜に点眼することとし、52週間投与しています。投与期間中の眼圧は原発開放隅角緑内障および高眼圧症では7.0〜8.0mmHg、正常眼圧緑内障では4.7〜6.1mmHg下降し、ビマトプロストは投与期間を通して強力で安定した眼圧下降効果が得られています。

眼圧下降効果(52週):眼圧下降率

 また、投与期間中の平均眼圧下降率は、原発開放隅角緑内障および高眼圧症と同様に、正常眼圧緑内障でも約30%の眼圧下降を示し、日本人に多いとされている正常眼圧緑内障に対しても強い眼圧下降作用を示すことが確認されています。
 次にビマトプロストの安全性について紹介します。
 プロスタグランジン関連薬の副作用には、結膜充血、睫毛の異常、眼瞼および虹彩の色素沈着などが知られており、それぞれの薬剤ごとに程度と頻度が異なっています。
 ビマトプロストの臨床試験での総症例323例中259例、頻度としては、80.2%に副作用が認められており、主な副作用は、睫毛の異常46.1%、結膜充血45.5%、眼瞼色素沈着19.2%、虹彩色素沈着12.4%、眼のそう痒症9.3%などでした。
 これらの副作用の発現頻度は他のプロスタグランジン製剤と比べてやや高めですが、臨床試験において投与を中止した症例はほとんどありませんでした。このことは、重篤な副作用がみられなかったことと、治療における眼圧下降の重要性と副作用に関して患者さんへ十分な説明がなされていたことが大きな要因であったと考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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