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<スズケンDIアワー> 平成21年10月29日放送内容より スズケン

高血圧治療薬 アリスキレンフマル酸塩


大阪大学大学院内科 教授
楽木 宏実

 本日は、レニンアンジオテンシン系の起点に位置する酵素であるレニンを直接的に阻害する新規高血圧治療薬アリスキレン(商品名ラジレス)について、その特徴を解説します。この薬剤は、本年(2009年)7月に日本で承認されましたが、現在、米国を含む世界77カ国で既に承認されています。

icon レニンの作用

アリスキレンはRA系サイクル全体を抑制する

 レニンは、レニンアンジオテンシン系(以下RA系と呼びます)の起点に位置する酵素で、アンジオテンシノーゲンを切断し、アンジオテンシンIを生成します。主な産生部位は腎臓の傍糸球体細胞で、産生刺激は腎臓の傍糸球体装置における血圧や塩素イオン濃度の低下です。アンジオテンシンIは、アンジオテンシン変換酵素ACEなどによって、活性をもつアンジオテンシンIIに変換されます。活性体であるアンジオテンシンIIは、主にアンジオテンシンIIタイプ1受容体に結合し、血管収縮、水・ナトリウム再吸収亢進、アルドステロン分泌亢進により、血圧上昇や体液貯留に作用します。また、同時に、フィードバック機構により、腎臓からのレニン分泌を抑制します。RA系の過剰亢進は、水・電解質・循環血液量の調節異常および血管収縮亢進、酸化ストレスの亢進等を介して臓器傷害に関与します。

icon レニン阻害薬の開発

 レニン研究の歴史は古く、約100年前の1898年にTigerstedtがウサギ腎皮質抽出液中に血圧を著しく上昇させる物質が存在することを見出し、活性物質レニンと呼んだことから始まります。研究がすすみ、レニン阻害は、RA系の抑制に、最も有効な方法であると考えられ、その開発が望まれてきました。しかし、これまでの開発では、経口吸収性の問題、降圧効果の問題などが解決できずにいました。アリスキレンは、X線結晶解析及び分子モデリング技術を用いてレニン酵素の活性部位に直接、強力に結合するように分子設計されたもので、臨床に応用できる初めての直接的レニン阻害剤となりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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