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<スズケンDIアワー> 平成21年10月29日放送内容より スズケン

高血圧治療薬 アリスキレンフマル酸塩


大阪大学大学院内科 教授
楽木 宏実

icon アリスキレンの特徴

 適応症は、高血圧症で、用法及び用量は、通常、成人には、アリスキレンとして150mgを1日1回経口投与します。なお、効果不十分な場合は、300mgまで増量することができます。
 アリスキレンの作用機序ですが、アリスキレンは、血漿レニン活性を低下させ、アンジオテンシンIおよびアンジオテンシンIIの両方を減少させ、RA系全体を抑制します。これまでのRA系抑制薬である、ACE阻害薬やアンジオテンシン受容体ブロッカーARBは、フィードバック機構により、むしろ血漿中のレニン濃度および血漿レニン活性を上昇させます。結果、ACE阻害薬ではアンジオテンシンI、ARBではアンジオテンシンIとアンジオテンシンIIの両方が増加します。アリスキレンも、フィードバック機構によるレニン分泌抑制作用を減弱するために、血漿中のレニン濃度は上昇しますが、血漿レニン活性を強力に抑制することから、効率よく、RA系全体を抑制します。このことが、これまでのRA系抑制薬と異なる大きな特徴となります。

icon アリスキレンの降圧効果

 ここからは、アリスキレンの降圧効果およびその持続性について解説します。

直接的レニン阻害薬とARBの降圧効果の比較

 拡張期血圧が95mmHg以上110mmHg未満の軽症から中等症の高血圧患者に、アリスキレン150mg、300mgまたはARBであるイルベサルタン150mg、プラセボのいずれかを8週間投与しました。アリスキレン150mg、300mgの投与により、用量依存的に、拡張期血圧および収縮期血圧がプラセボに比べて有意に低下しました。拡張期血圧において、アリスキレン150mgはイルベサルタン150mgと同等の降圧効果を示しました。収縮期血圧においても、同様な結果がえられたことから、アリスキレン150mgによる降圧効果は、イルベサルタン150mgと同等であることが示されました。

アリスキレンの降圧効果の持続性

 アリスキレンは、薬物動態上の特徴として、約40時間という長い消失半減期を示しています。この長い消失半減期と降圧効果を確認するために、アリスキレン150mgを、8週間経口投与したときの、座位拡張期血圧および24時間自由行動下平均拡張期血圧に対する効果を検討しました。自由行動下平均拡張期血圧における投与前からの変化度は、アリスキレン150mg群においてプラセボ群と比べ、有意に低値でした。トラフ時つまり投与後24時間後においても降圧効果の減弱は認められず、24時間にわたる安定した降圧効果を示しました。トラフ時と血圧が最大下降を示すピーク時の降圧度の比であるT/P比は、アリスキレン150mg投与群で64%、300mg投与群で98%と極めて高い値でした。座位拡張期血圧において、アリスキレン150mgは、投与2週目までに迅速な降圧効果を示し、その降圧効果は投与8週間において維持されました。投与中止後も血圧測定を継続したところ、血圧のリバウンドは認められず、中止後2週間後もプラセボレベルまで戻らなかったことから、アリスキレン投与による降圧効果の持続性が示されました。
 また、国内で実施された軽症から中等症の本態性高血圧患者に、150mgから300mgを52週間投与した長期投与試験においては、アリスキレンに対する耐性を示すことなく安定した降圧効果が得られています。

icon アリスキレンの安全性

 アリスキレンの安全性について、お話します。
 アリスキレン単独療法を受けた患者2316例の有害事象について、集計したデータがあり、アリスキレンは、平均54日間投与され、プラセボは平均52日間投与されました。

アリスキレンの忍容性はプラセボと同等

 有害事象のうち、全アリスキレン群で2%以上の頻度で発現したものは、頭痛、鼻咽頭炎、および下痢でした。日本での承認用量である150mgから300mgでは、プラセボ群と同等の忍容性が示されました。
 国内で実施されたアリスキレンの高血圧患者に対する臨床試験において、軽症から中等症の本態性高血圧患者、腎機能障害を伴う高血圧、重症高血圧において、忍容性が検討され、副作用が報告されたのは869例中25.9%でした。そのうち自他覚的副作用は16.0%、臨床検査値異常は13.0%でした。おもな自他覚的副作用は頭痛1.3%、下痢1.0%などでした。おもな臨床検査値異常はALT(GPT)増加2.4%、血中尿酸増加2.3%などでした。

 

提供 : 株式会社スズケン



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