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<スズケンDIアワー> 平成21年11月12日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(28)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送でお伝えした品目以降に薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

icon クロザリル錠の薬価算定根拠

クロザリル錠の薬価算定根拠

 はじめは、クロザリル錠です。有効成分は、クロザピンで、ノバルティスファーマの開発です。クロザピンは、抗ドパミン作用および抗セロトニン作用を有し、「治療抵抗性統合失調症」を効能・効果とします。効能・効果、薬理作用等が類似したフマル酸クエチアピンの製剤であるアステラス製薬のセロクエル錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、治療抵抗性統合失調症の治療の選択肢が既存抗精神病薬の併用等に限られている状況で、最終選択薬としての本剤の意義は大きく、「治療方法の改善」が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、無顆粒球症等の重篤な副作用のリスクがあることを考慮し、評価は限定的なものとされました。

icon ストラテラカプセルとミコンビ配合錠の薬価算定根拠

ストラテラカプセルの薬価算定根拠

ミコンビ配合錠の薬価算定根拠

 次は、ストラテラカプセルです。有効成分は、アトモキセチン塩酸塩で、日本イーライリリーの開発です。アトモキセチン塩酸塩は、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有し、「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を効能・効果とします。効能・効果等が類似する塩酸メチルフェニデートの製剤であるヤンセン ファーマのコンサータ錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。AD/HDの効能効果を有するのは本剤と塩酸メチルフェニデートだけであり、本剤は、塩酸メチルフェニデートでは禁忌とされている過度の不安、緊張などの併存障害を有する患児に対しても使用可能である点で「治療方法の改善」が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、国内臨床試験症例数が少ないため、市販後も併存障害を有する症例に対する有効性と安全性について引き続き検討が必要とされることを考慮し、評価は限定的なものとされました。また、本剤は、小児用製剤として開発されたものであり小児用加算が適用されましたが、AD/HDは小児が中心の疾患であり、予測される本剤投与患者数も相当数見込まれていることから、限定的な評価とされました。

 次は、ミコンビ配合錠です。成分は、テルミサルタンとヒドロクロロチアジドの配合剤で、日本ベーリンガーインゲルハイムの開発です。テルミサルタンはアンジオテンシンII受容体拮抗作用を、またヒドロクロロチアジドは遠位尿細管でのNa再吸収抑制作用に基づく利尿作用を有し、「高血圧症」を効能・効果とします。本剤は配合剤であることから、それぞれの有効成分を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。具体的には、テルミサルタンの製剤である日本ベーリンガーインゲルハイムのミカルディス錠とヒドロクロロチアジドの製剤である萬有製薬のダイクロトライド錠の1日薬価を合計して算定されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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