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<スズケンDIアワー> 平成21年11月12日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(28)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon タイケルブ錠とオラペネム小児用細粒の薬価算定根拠

タイケルブ錠の薬価算定根拠

オラペネム小児用細粒の薬価算定根拠

 次は、タイケルブ錠です。有効成分は、ラパチニブトシル酸塩水和物で、グラクソ・スミスクラインの開発です。ラパチニブトシル酸塩水和物は、EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害作用を有し、「HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳癌」を効能・効果とします。効能・効果等が類似する遺伝子組換えのトラスツズマブの製剤である中外製薬のハーセプチン注射用を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、カペシタビンとの併用により既存の治療法では効果不十分な患者に対する新たな治療の選択肢を提供するものであることが認められ、有用性加算(II)が適用されました。ただし、国内臨床試験における症例数が限られているため、製造販売後に投与全例を対象として、心臓毒性等を含めた副作用の発現状況について重点的に調査することとされていることなどを考慮し、評価は限定的なものとされました。なお、算定薬価が外国平均価格の4分の3を下回ることから、外国平均価格調整による引上げが行われました。

 次は、オラペネム小児用細粒です。有効成分は、テビペネムピボキシルで、明治製菓の開発です。テビペネムピボキシルは、細胞壁合成阻害作用を有し、「テビペネム感性の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌」を適応菌種に、「肺炎、中耳炎、副鼻腔炎」を適応症とします。効能・効果等が類似するセフジトレンピボキシルの製剤である明治製菓のメイアクト小児用細粒を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。本剤は、初の経口カルバペネム系薬剤であり、既存の経口薬では効果不十分で注射剤等による治療が行われてきた症例に対しても使用できる可能性があるという点において「治療方法の改善」が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、本剤の使用が他剤無効例と限定されている一方で、臨床試験の結果からは既存薬の高用量と同等の効果と評価されていることを考慮し、評価は限定的なものとされました。また、本剤は、小児専用薬として先行開発され、小児に対して400例以上の国内臨床試験が行われており小児用加算が適用されましたが、肺炎、副鼻腔炎領域における本剤の臨床上の位置付けが明確でないこと、および中耳炎の小児患者数は多く、臨床試験が比較的実施しやすい疾患であることから、限定的な評価とされました。

icon クラビット錠・クラビット細粒の薬価算定根拠

クラビットの薬価算定根拠

 次は、クラビット錠およびクラビット細粒です。有効成分は、レボフロキサシン水和物で、第一三共の開発です。レボフロキサシン水和物は、DNA合成阻害作用を有し、「本剤感性の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス等」を適応菌種に、「表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症等」を適応症とします。レボフロキサシンのこれまでの用法・用量は、1回100rを1日2〜3回経口投与するとされていましたが、今般、耐性菌の発現を抑制する観点から、1回500rを1日1回経口投与する新たな用法・用量が承認されたことにともない、高含量の製剤が開発されたものです。したがって、既収載の同一成分であるクラビット錠およびクラビット細粒を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で薬価の算定が行われました。本剤は、公知の理論に基づく耐性菌の発現を抑制する用法・用量として開発されたものであり、耐性菌発現の抑制が客観的に示されていることから「治療方法の改善」が認められると判断され、有用性加算(II)が適用されました。ただし、実際に耐性菌の発現抑制が示された菌種は肺炎球菌だけであったことから、限定的なものとされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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