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<スズケンDIアワー> 平成21年11月26日放送内容より スズケン

カルシウム拮抗薬・スタチン配合剤アムロジピン酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物


東京大学大学院臨床疫学・経済学 准教授
福田 敬

icon アドヒアランスの治療効果とコストへの影響

疾患別のアドヒアランスと治療効果

 これに対して海外では、エレクトリック・モニタリング(薬びんのフタに装置がつけてあり、薬を取り出す度に時間が記録されるシステム)が最も信頼性が高い調査方法として、広く用いられています。エレクトリック・モニタリングを用いた研究のみをレビューした論文によると、疾患別のアドヒアランスの状況は、がんでは「服薬履行率」が80%、高血圧が73%、糖尿病で73%、喘息で55%となっています。
 また、服薬アドヒアランスの治療効果への影響について調べた研究によれば、高血圧や糖尿病といった生活習慣病では、薬を正しく服用しないために本来期待される3分の1程度しか効果が得られていないとの報告もあります。一般に薬剤別の治療効果を比較しても、これほど大きな差が出ることはなく、薬の違いよりも、きちんと薬を飲むことの方がいかに重要かわかります。

アドヒアランス不良によるコストへの影響

 服薬アドヒアランスのコストへの影響について見ると、アメリカの研究では、アドヒアランス不良によって生じる病院の費用が年間約85億ドルと推計されています。これは総医療費の0.8%から1%という計算になります。カナダの研究では、機会費用の損失なども含めると年間70億から90億ドルの費用がかかっていると推計され、総医療費の1.7%に当たる。疾患別に推計している論文によると、例えば高血圧については、アドヒアランスを上げると年間患者1人当たりの病院の費用が637ドル減、外来の費用が175ドル減少するという結果になっています。
 この数字を日本にあてはめ、アドヒアランス不良によって発生する医療費が総医療費の0.8%から1.7%あると考えた場合、国民医療費約30兆円のうち2,400億〜5,100億円に相当し、いかに医療費を増大させているかがわかります。

icon おわりに

 日本のアドヒアランスの現状については、まだ研究が十分ではなく、正確に把握できていません。しかしながら、アドヒアランスの改善がもたらす効果については、治療のみならずコストの面においても非常に重要であることが海外の研究報告からも明らかであるといえますからアドヒアランスを良くするためには、医師や薬剤師などの医療関係者がこれまでの指導方法を改善して患者自身の積極性を喚起するとともに、製薬企業も、複数の薬効を合わせた配合剤など、患者にとって利便性の高い薬を開発することが求められるでしょう。

 

提供 : 株式会社スズケン



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