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<スズケンDIアワー> 平成21年12月24日放送内容より スズケン

選択的ニューロキニンNK1受容体拮抗制吐薬アプレピタント


福岡大学腫瘍・血液・感染症内科 教授
田村 和夫

icon 制吐薬の歴史

 1980年代は主として、ドパミンの作用を抑える薬剤が使用されました。たとえば、抗うつ薬であるフェノチアジン、消化管の調子をよくするお薬、メトクロプラミドといった薬剤がドパミン作用を抑制するということで、いままで使われてきました。ただ、嘔吐が強くでる抗がん剤には十分な効果が出ませんので、患者さんは大変苦しい思いをしていました。

悪心・嘔吐の発現機序

 1990年代にはいり、抗がん剤が腸管を刺激して出てくるセロトニンという物質がおなかを調節している迷走神経を刺激し、さらに化学受容野や嘔吐中枢を刺激します。このセロトニンという物質の刺激が脳の方に伝わらないようにする薬、5-HT3受容体阻害薬が開発されまして、吐き気・嘔吐がかなり少なくなりました。ところが、抗がん剤を注射して24時間以内におこる急性期の吐き気・嘔吐は、セロトニンが強く関与しているので、この5-HT3阻害薬が効きますが、24時間以降におこる遅発性の吐き気・嘔吐の改善が十分でないことが分かってきました。この遅発性の副作用に効く特効薬はなく、いままでは、副腎皮質ステロイドホルモンが使用されていましたが、十分ではありませんでした。

icon 新しい制吐薬の登場

 さらに研究が進められ、遅発性の吐き気・嘔吐にサブスタンスPが強く関与していることが分かってまいりました。この物質が、化学受容野や嘔吐中枢にあるNK1受容体という部位に結合して、嘔吐をおこすことがあきらかになってきましたので、それを阻害する薬剤が開発されました。これは、我々医療者も患者さんも首を長くして待っていた制吐剤で、12月はじめに発売になりましたアプレピタントという薬剤です。本薬剤は、抗癌剤投与後24時間以内におこります急性期の嘔吐にも効きますし、遅発性の吐き気・嘔吐にとくに有効であることが多くの研究で示されています。単剤で高頻度に嘔吐をおこすシスプラチンが一番の適応になりますが、単剤では中等度の吐き気・嘔吐を引き起こすアドリアシンやシクロホスファミドも併用するとかなりの頻度で吐きますので、アプレピタントは有効です。

シスプラチン投与後5日目まで・・・

 

提供 : 株式会社スズケン



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