→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成22年1月7日放送内容より スズケン

肥満症治療薬 シブトラミン塩酸塩水和物


東京逓信病院 内科部長
宮崎 滋

icon シブトラミンの作用機序

 シブトラミンの作用機序ですが、食欲をコントロールする神経ニューロンのシナプスにおいて、モノアミンが分泌されます。すなわちノルアドレナリンあるいはセロトニンがシナプスに放置されるものの、通常はこのシナプスの中でもとのニューロンに再取り込みされますが、その再取り込みをブロックすることによって、シナプス内のセロトニン、ノルアドレナリン濃度を高めることにより、満腹感を亢進させ、エネルギー摂取を減少させます。そしてさらには、軽度ではありますけれども、熱産生抑制作用があることも知られております。

シブトラミンの用量検討試験

 シブトラミンの作用は、これまでの海外での臨床治験によりますと、大体24週、6カ月用いた場合、10rを用いますと5.5%の体重減少、15rで約7%の体重減少が認められております。そしてさらにストーム試験という治験では、6カ月体重減少した後、シブトラミンを用いますと、その後の体重増加が2sであるのに対して、プラセボを用いた場合は7sに増加しますので、長期間においても体重の抑制作用があることが知られております。

シブトラミン+生活習慣修正療法

 そして、さらに重要なことは、ただシブトラミンを使うだけではなくて、このシブトラミンに食事療法、運動療法を加味することによって、大変大きな体重減少が得られます。すなわち、シブトラミンは、体重を減少させることよりも食事療法、運動療法を長期間維持し、体重減少の効果を長く保てることが特徴と言うことができます。
 それでは、どのような問題点があるかと申しますと、最も重要な有害事象として、心血管系、特に脈拍の増加、あるいは心悸高進、血圧の上昇などが知られています。消化器系については、食欲の減退、便秘等がありますし、中枢神経系の副作用としては口内乾燥感等があり、わずかではありますが、不眠も見られております。最も問題になるのは、脈拍数の増加、血圧の上昇ですけれども、これは体重減少することによって、この薬の作用が働くために、血圧の低下することと相殺されて余り大きな問題にならないのではないかと考えておりますけれども、今後検討すべき点と思います。

日本での治験結果

 日本においては、BMI25以上であり、2型の糖尿病、脂質異常症を持つ患者さんに対して、この薬を使うことにより、ほぼ5%の体重減少があったと報告されております。そして、ヘモグロビンA1c、トリグリセリド、HDLコレステロールの改善が見られております。副作用としては、やはり口内乾燥、心拍の増加がありますが、大きな安全性の問題はなかったと考えられております。
 このように、シブトラミンは日本の肥満症治療において、大変重要な役割を果たすと期待されております。これまでの肥満症治療薬と違い、長期間使用できるのも一つのメリットでありますけれども、恐らく半年あるいは1年の段階で、その効果をチェックしながら継続して使うことになろうかと思います。そしてくどいようですが、最後に、シブトラミンに限らず、肥満症の薬物療法に関してのコンセプトを申し上げます。それはまず対象者は肥満症であること、そして食事・運動療法は継続して行うことが重要です。このように、シブトラミンは減量効果を確実に達成し、その効果を長時間維持することができること、このようなことが大きなメリットです。従ってシブトラミンは日本の肥満症治療、そして心血管合併症等の予防に大きな効果があるのではないかと期待されております。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3