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<スズケンDIアワー> 平成22年1月21日放送内容より スズケン

DI実例集(166)医薬品安全管理における臨床研究データベースシステムの活用


浜松医科大学附属病院薬剤部 副薬剤部長
渡邉 進士

 医療現場におけるIT化の進展に伴い、オーダリングシステムや電子カルテシステムの普及が進み、電子的に蓄積された処方・検査履歴、病歴などの臨床データの様々な活用が試みられています。しかし、これらの膨大なデータの中から目的に合致したものを検索するためには、多大な労力と時間が必要とされてきています。
 そのような中、浜松医科大学医学部附属病院では、大規模臨床データを高速に検索することができる「臨床研究データベースシステム」を開発し、2002年5月より臨床現場に導入・運用しています。そして現在、医師、薬剤師などにより診療業務や臨床研究に広く活用されていることから、今回、本システムの概要ならびに活用例の一つとして薬剤部における医薬品安全管理への活用を紹介します。

icon 臨床研究DBシステムの概要

 本システムは、当院医療情報部がNTTデータ東海と共同で開発した、患者基本情報、処方・検査・病名・入退院履歴などの臨床データを保存、蓄積し、短時間での複合検索を可能にする診療支援システムです。
 現時点では、1996年以来蓄積してきた約40万人もの患者情報をデータベース化し、全データを対象に複雑な条件による高速検索を可能としています。通常、同規模のデータベースを基に、一般的な病院のシステムを用いて複合検索を行えば、夜間に検索を開始して、翌朝に結果が得られるのが現状です。しかし、本システムでは、過去約12年間分のデータを全て検索しても、凡そ10秒以内には結果が得られます。また、本システムはWebシステムであることから、院内のどの端末からもブラウザで利用でき、院内Webまたはオーダエントリシステムにアクセス権限のある全ての人に利用可能となっています。
 本システムの具体的な構成ですが、WebサーバとしてNECのExpressサーバが設置され、その上でWindowsサーバOSがプラットフォームとして稼動しています。システムの中核となるデータベースには、多次元データベース管理システムであるCaché(キャシェ)が採用されています。データの流れとしては、データが更新され次第、情報登録が行われるオーダエントリシステムから本システムへHL7形式で送信し、それを本システムでCachéへ展開しています。

システム構成

 このように蓄積されたデータに対して、Webクライアントからのリクエストで検索処理を実行しています。なお、本システムの主な機能としては、診療データ複合検索、診療データ時系列検索、時系列バッチ検索、指定条件簡易集計などがあります。

臨床研究DBシステム機能一覧

 しかし、本システムの最大の特徴は、複雑な条件を予め登録しておけば、検索条件に該当する患者リストが毎日レポート化され、参照できることです。例えば、医薬品名と検査値を設定することで、処方後の検査値が悪化した患者を夜間に自動検索させ、その結果をレポート形式で出力させるとともに、電子メールで報告させることもできます。また、データをCSV形式で出力して加工することも可能です。具体例を一つ紹介しますと、抗がん剤などの要注意医薬品投与後に検査結果が悪化した患者を自動検索させ、レポート形式で出力させることができます。

抗がん剤投与後に検査結果が悪化した患者レポート例

 また、検索条件の設定も簡単で、患者基本情報、医薬品名称、薬効分類、検査名称、検査結果値、病名などの各選択項目をAND/ORにより複合的に設定するだけでよく、より詳細に検索する場合には、薬品数や1日量、同一成分、同一規格、検査結果値の増減比率などの条件設定も可能です。

臨床研究データベースシステム条件設定画面

処方および検査検索条件詳細設定画面

 さらに、検索結果を基に該当患者の診療サマリや検査値グラフを表示させることもでき、検索条件以外の臨床情報を一覧表示させることもできます。将来的には、診断群分類別の症例データの抽出や副作用報告用データの抽出など、医師の負担軽減や病院業務の効率化の観点からの機能追加が検討されています。
  以上、本システムの概要について説明しましたが、次に薬剤師による医薬品安全管理への活用例について説明します。

 

提供 : 株式会社スズケン



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