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<スズケンDIアワー> 平成22年2月4日放送内容より スズケン

肝細胞癌治療薬 ミリプラチン水和物


国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科 医長
奥坂 拓志

icon 肝細胞癌経カテーテル治療における抗癌剤

 肝細胞癌治療においては根治的治療として肝切除術やラジオ波焼灼療法RFAを中心とした局所療法がありますが、再発を繰り返す肝癌においては肝動脈にカテーテルを入れ、腫瘍局所に抗がん剤を入れる肝動脈カテーテル療法がよく施行されます。
 現在、この肝動脈カテーテル療法においては、選択的腫瘍集積性のあるリピオドールを担体として抗癌剤を腫瘍局所に入れ、更に塞栓材を入れる肝動脈化学塞栓療法(TACE)がRFAなどの局所療法後に施行されています。

肝臓細胞癌肝動注抗癌剤

 これまでこのリピオドールに安定に懸濁される抗癌剤が見出せませんでしたが、1993年にジノスタチン・スチマラマーがリピオドール懸濁用法の適応を持つ薬剤として初めて登場しました。但し、ジノスタチン・スチマラマーは効果が高い一方で、血管障害が強いことから繰り返し治療する本領域では使用しにくい問題がありました。その為、本領域ではリピオドールに容易に懸濁でき、また、血管障害の無い抗癌剤の登場が長らく待たれていました。ミリプラチンは親油性プラチナ製剤として創薬、開発され、2010年1月に肝細胞癌に対するリピオドリゼーションという適応症で新しく臨床で使用できるようになった抗癌剤です。

icon ミリプラチンの薬剤特性

ミリプラチンの化学構造式上の特徴

 ミリプラチンはプラチナに炭素数14個の脂肪酸であるミリスチン酸が配位しており、その特性はおそらく世界でも初めての親油性のプラチナ製剤となっています。親油性でしかも粒子径が非常に小さいことからリピオドールに懸濁しやすく、リピオドールと共に腫瘍内に長時間滞留し、徐放され、腫瘍に作用します。
 滞留性に関して、得られた基礎データを紹介します。

滞留性:非臨床試験成績〜薬理

 担がんラットにミリプラチンをリピオドール懸濁液として肝動注したところ、投与当日より、投与7日目のほうが腫瘍組織内プラチナ濃度は高いことが確認されました。一方、シスプラチンの腫瘍内濃度は投与7日目で減っており、滞留性は認められませんでした。

臨床開発試験データ

 また、徐放性についてもミリプラチンは長期間にわたりリピオドールから腫瘍内に徐放されることが確認されています。
 これらのことから、ミリプラチンはリピオドールと共に腫瘍局所に長く滞留し、徐々に腫瘍に作用する抗癌剤であることが分かります。実際に臨床開発治験においても末梢血中のプラチナ濃度は非常に低いものでした。これまでのシスプラチンのリピオドール懸濁液投与で確認されている末梢血中プラチナ濃度より単位が一つ下のナノグラム単位でなければ検出されない程度であり、末梢には漏れ出しにくい特性が明らかになっています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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