<スズケンDIアワー> 平成22年2月4日放送内容より |
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国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科 医長
奥坂 拓志
ミリプラチンはプラチナ製剤ですが、これまでのシスプラチンなどとは異なる製剤となっています。本邦において臨床使用されているプラチナ製剤の変遷を示します。 強力な抗腫瘍効果を示す第1世代プラチナ製剤としてシスプラチンが1983年に様々な癌種に承認を受けました。その後、シスプラチンの腎毒性、血液毒性を軽減する目的で開発された第2世代プラチナ製剤であるカルボプラチンが1990年に、ネダプラチンが1995年に承認を受けました。その後、腎毒性、血液毒性の軽減だけでなく、CDDP耐性株にも感受性をもち、交叉耐性を示しにくい第3世代プラチナ製剤としてオキサリプラチンが2005年に大腸癌の承認を得ました。オキサリプラチンはキャリアリガンドとしてDACH(ダック)構造を有していますが、ミリプラチンはオキサリプラチンと同様のこのDACH構造を持つ第3世代プラチナ製剤です。さらにミリプラチンはリピオドールに懸濁しやすい親油性のDDSとしての特徴を有しており、2つのすぐれた性格をもつ薬剤といえます。
プラチナ製剤の作用機序はDNA塩基と結合するDNAアダクト形成であり、強力にDNAの合成を阻害します。細胞周期によらない細胞周期非特異性の作用機序であり、他剤と比較しても強い抗腫瘍効果を示すとされています。ミリプラチンの作用機序もシスプラチンと同様に腫瘍細胞のDNAとアダクトを形成し、シスプラチンに匹敵する抗腫瘍効果を示します。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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