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<スズケンDIアワー> 平成22年2月4日放送内容より スズケン

肝細胞癌治療薬 ミリプラチン水和物


国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科 医長
奥坂 拓志

icon 臨床試験成績

 ミリプラチンの臨床開発試験成績について紹介します。
 これまでに第I相試験、前期第II相試験と後期第II相試験が終了し、結果が公表されています。

後期第II相臨床開発試験:TE V

 肝細胞癌患者さんを対象に、唯一、リピオドール懸濁の適応を持つジノスタチン・スチマラマーを対照薬とした後期第II相試験では、主要評価項目の100%腫瘍壊死効果はミリプラチン投与群で26.5%、ジノスタチン・スチマラマー投与群で17.9%でした。なお、本試験は統計学的な検証をしない試験として実施されています。
 次にミリプラチンの薬剤特性は特に安全性に表れていると考えられます。

後期臨床開発試験:有害事象・血管障害

 後期第II相試験におけるミリプラチン投与群の血管障害と肝内シャント発現は1例も無かったのに対して、ジノスタチン・スチマラマー投与群では血管障害が48.4%に、肝内シャントは12.9%の症例で発現していました。また、肝予備能においても肝予備能の指標Child‐pugh分類の分布推移を検討したところ、ミリプラチン投与群では投与前後において肝予備能には大きな影響はみられませんでした。これらは腫瘍内に長時間滞留し、徐放するミリプラチンの特徴から得られた臨床メリットと推察されます。肝細胞癌に対して繰り返し施行される肝動脈カテーテル療法においては使いやすい薬剤と考えられます。
 一方で臨床上、ミリプラチン特有の副作用である発熱パターンには注意が必要です。

後期臨床開発試験:有害事象・二相性発熱

 他剤と異なり、投与直後の発熱だけではなく、投与1週間後にも発熱ピークが来る場合や 投与1週後以降も熱が続く場合があります。臨床試験での経験上、解熱鎮痛薬のみで対応可能と考えられていますが、十分に注意をして経過観察をする必要があると考えられます。長引いたり、遅れてあらわれる発熱は、先程ご紹介しました、本剤の高い滞留性によって、引き起こされる薬剤熱とも考えられますが、現在のところ、その発現機序は不明です。

icon まとめ

ミリプラチン

 肝細胞癌の肝動脈化学塞栓療法においてはジノスタチン・スチマラマー登場以降、長らく保険上、リピオドールと懸濁して使用できる薬剤が登場していませんでした。ミリプラチンは創薬段階からリピオドールに懸濁することを目的に開発された、云わばリピオドール懸濁専用の親油性プラチナ製剤です。これまでのプラチナ製剤の中でも興味ある特徴を有しており、肝細胞癌治療における有用性が期待されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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