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<スズケンDIアワー> 平成22年2月11日放送内容より スズケン

がん化学療法に伴う腫瘍崩壊症候群と高尿酸血症治療薬 ラスブリカーゼ(遺伝子組換え)


東京慈恵会医科大学内科学(腫瘍・血液) 准教授
薄井 紀子

 本日は、血液腫瘍や固形がんの化学療法における腫瘍崩壊症候群と新規に開発された高尿酸血症治療薬のラスブリカーゼ(商品名:ラスリテック)についてお話を致します。

icon 腫瘍崩壊症候群について

 腫瘍崩壊症候群(Tumor Lysis Syndrome:以下TLS)は、oncologic emergency、即ち臨床腫瘍学における緊急事態とされる病態です。
 これは、巨大な腫瘍が崩壊し、腫瘍細胞の内容物が大量に血液中に放出され、身体全体の循環機能を障害し、しばしば致死的な転帰を取る重篤な病態です。
 TLSは、検査値の異常があらわれる検査学的TLSから、臨床症状を伴う臨床的TLSへと進行し、原疾患の腫瘍による症状ではなく、急性腎不全や不整脈など、早急に対処すべき疾患となってゆきます。

腫瘍崩壊症候群の定義

 検査学的TLSの定義ですが、これは、輸液や尿酸値を正常化させる薬剤治療が適切に施行されたにもかわらず、化学療法の前3日間から化学療法後7日の間に発症する、以下に述べる検査値異常を2つ以上認めるものです。
 すなわち、
 1)高尿酸血症、2)高カリウム血症、3)高リン酸血症そして4) 低カルシウム血症です。
 そして、臨床的TLSは、検査学的TLSに、血清クレアチニンの基準値の1.5倍の上昇、重篤な不整脈の出現、痙攣の症状が1つ以上加わった場合と定義されます。

icon TLSの発症について

Tumor Lysisi Syndromeを合併しやすい悪性腫瘍とその頻度

 TLSを合併しやすい腫瘍は、腫瘍量が多く、増殖速度が速く、そして化学療法や放射線療法など治療への感受性の高い腫瘍であり、急性白血病やリンパ腫など血液腫瘍が9割を占めています。
 TLSの中で最も重要な症状は、重篤な高尿酸血症です。化学療法などにより大量に腫瘍が崩壊しますと、腫瘍細胞の内容物(カリウム、リン酸、核酸など)が大量に血液中に放出されます。

核酸の代謝経路

 核酸の一つであるプリン化合物の分解では、ヒポキサンチンはキサンチン酸化酵素によりキサンチンから尿酸が産生されます。
 TLSにおいて大量の尿酸の産生・血中への放出は、重篤な高尿酸血症を生じ、腎尿細管に尿酸の結晶が大量に沈着して、急性腎不全を引き起こします。さらに電解質異常も合併し、致死的な不整脈や痙攣の原因となります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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