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<スズケンDIアワー> 平成22年3月18日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報(19)注射用抗生物質製剤等によるショック等に対する安全対策について


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 副作用報告とその検討結果

 今般、 PMDAでは、皮膚反応の推奨を中止した平成16年以降、製造販売業者から安全対策課宛に報告されたショック等の副作用報告状況等について調査を行い、平成16年に実施した皮膚反応の推奨中止の妥当性、及びショック等に対する更なる安全対策が必要か否かについて、専門家を含めて検討が行われました。

医薬品・医療機器総合機構

 ショック等の副作用報告状況と安全対策が必要か否かに関する検討結果について、PMDAは、平成11年10月1日から平成20年9月30日までに報告された注射用抗生物質製剤等によるショック等の副作用報告状況について、皮膚反応の推奨中止前後での変化に関する調査を行ないました。なお、本調査においては、10月1日から翌年9月30日の1年間を各年の期間と定義し、各年の推移を検討しています。また、検討に当たっては、副作用報告件数の推移に加え、各期間の出荷数量、平均投与期間及び平均1日投与量より算出した各期間の推定使用患者数、及び副作用報告件数を分子として、推定使用患者数を分母として算出した発生割合の推移についても確認をしていました。しかし、出荷数量から算出した推定使用患者数を用いた検討には限界があることから、本調査では参考値として扱っています。
 副作用報告の推移について調査した結果では、スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム、セファゾリンナトリウム、セフメタゾールナトリウムについては、皮膚反応の推奨中止直前の1年間と比較して、推奨中止以降のいずれの期間においても、副作用報告件数、発生割合の増加が見られましたが、それ以外の成分については、副作用報告の推移に変化が認められませんでした。
 このようなことから、出荷数量から算出した推定使用患者数に基づく発生割合は、発生動向を検討するには限界があること。一方で、本調査の全期間にわたって、学会の指針の変更に伴い経年的に投与期間が短縮される等、抗生物質製剤の使用状況が変化している可能性が示唆されています、特に皮膚反応の推奨中止後の最近の推定使用患者数は、本調査で参考とした推定値よりも実際には多くなる可能性があります。よって、PMDAでは、本調査結果における皮膚反応の推奨中止前後での発生割合の比較のみをもって、ショック等の発生動向の変化を検討することは困難なものの、皮膚反応の推奨中止以降、必ずしもショック等の発生割合が明らかに増加したとはいえないと判断しました。

注射用抗生物質製剤等のショック等による副作用報告について

 注射用抗生物質製剤等によるショック等の副作用報告については、アレルギー歴の有無、皮膚反応実施状況、皮膚反応結果を調査したところ、皮膚反応陰性例でのショック等の発生が報告され、皮内反応による予知が十分でないことを示す例も見られました。また、皮膚反応の推奨中止以降においても、皮内反応用製剤によるショック等の副作用も報告されていました。更に、症例経過を精査したところ、十分な問診が行われないまま投与が開始されショックに至った症例や、ショック等の早期発見及び早期治療への準備が不十分な状況で投与が開始され、ショック等の発生から重篤な転帰に至った報告も見られました。
 これらのことから、PMDA及び安全対策課は、皮膚反応陰性例でもショック等の発生が報告されていること、皮膚反応の推奨中止以降、ショック等の発生状況が明らかに増加したとはいえないこと等から、注射用抗生物質製剤等の投与前の一律な皮膚反応の推奨を中止した対応について、現時点で見直す必要はないと判断しました。一方、皮膚反応の推奨中止と同時に注意喚起がなされた「十分な問診の実施、ショック等の早期発見及び早期治療」が適切に実施されなかった結果、ショック等の発生、ショック等への対処が遅れた報告があったこと、注射用抗生物質製剤等によるショック等は一定の割合で起こりうる副作用であり、絶え間のない継続した注意が必要であること等から、再度「十分な問診の実施、ショック等の早期発見及び早期治療」に対する注意喚起を徹底する必要があると判断しました。また、スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム、セファゾリンナトリウム、セフメタゾールナトリウム等について、今後も引き続き、ショック等の副作用報告状況を注意して観察していくこととしました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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