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<スズケンDIアワー> 平成22年3月25日放送内容より スズケン

抗うつ薬SNRI―デュロキセチン塩酸塩


杏林大学保健学部 教授
田島 治

 本日は新規の抗うつ薬で、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)であるデュロキセチン塩酸塩(以下デュロキセチン)について、その開発の経緯と抗うつ薬の開発の流れにおける位置付け、薬理学的な特徴、抗うつ薬としての特徴と可能性、わが国および欧米におけるうつ病を対象とした臨床試験の結果、他のデュアル・アクションすなわちセロトニンとノルアドレナリンの両方に作用する抗うつ薬との効果の比較、副作用と処方上の留意点などをご紹介し、今後の処方に役立てていただきたいと思います。

icon 抗うつ薬の開発とデュロキセチンの位置付け

 デュロキセチンはSSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬の代名詞ともいえるフルオキセチンの後継の薬剤として位置付けられるSNRIすなわちセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬です。わが国では、このたび商品名サインバルタとして、20mgと30mgのカプセルがうつ病・うつ状態を適応症として登場します。
 まず抗うつ薬の開発の流れにおけるSNRIの位置付けをみますと、SSRIは不安や恐怖、強迫などを軽減する作用に優れ、軽症から中等症までのうつ病に有用なばかりでなく、各種不安障害に有用な薬物ですが、重症例に対する効果が弱いことなどから、再びセロトニンとノルアドレナリンの両方の作用を高める抗うつ薬、すなわちデュアル・アクションの抗うつ薬の開発がおこなわれるようになりました。

デュアル・アクションの抗うつ薬

 デュアル・アクションの抗うつ薬としてはSNRIとNaSSAすなわちノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬の2種類があります。SNRIとしては、わが国では登場していないベンラファキシンとミルナシプラン、そして今回登場したデュロキセチンの3剤が開発されています。
 その他に昨年秋にはわが国でもミルタザピンが登場しています。NaSSAであるミルタザピンはノルアドレナリンとセロトニンの放出を促進し、その伝達を高める作用があります。
 デュロキセチンはその薬理作用の特徴から、うつ病のみならず疼痛抑制作用や尿失禁抑制作用、不安障害に対する作用も期待されて臨床試験が行われ、米国では大うつ病、糖尿病性ニューロパチー、全般性不安障害、線維筋痛症が適応症に、欧州では腹圧性尿失禁、大うつ病、糖尿病性ニューロパチー、全般性不安障害が適応症になっています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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