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<スズケンDIアワー> 平成22年3月25日放送内容より スズケン

抗うつ薬SNRI―デュロキセチン塩酸塩


杏林大学保健学部 教授
田島 治

icon 他のデュアル・アクションの抗うつ薬との効果の比較

デュアル・アクションの抗うつ薬の比較

 次にデュアル・アクションの抗うつ薬をSSRIと比較したメタアナリシスの結果をみると、デュロキセチンに関しては必ずしもSSRIよりも優れた効果が累積反応率でみると示されていません。これにはこれまでに行われた臨床試験の用量設定や初期用量の設定が適切でなかったことも関与していると考えられます。
 そこで代表的なSNRIベンラファキシンとの直接比較の結果をみると、HAMD17項目合計評点の変化量からは、両者はほぼ同等の効果を有することが示されています。

icon 副作用と処方上の留意点

 最後に安全性すなわち副作用と処方上の留意点について述べたいと思います。

主な副作用

 うつ病に対するプラセボ比較試験の結果からデュロキセチンの主な副作用をみると、悪心や口渇などの消化器症状がもっとも多く、続いて倦怠感、不眠、めまいなどの中枢神経症状、さらに便秘、下痢、眠気、食欲低下、発汗などが主なものです。こうした副作用は、長期投与試験での推移でみますと、投与初期の4週間がもっとも多く、その後は著しく頻度が低下することが分かります。
 こうした点から、処方上の留意点として、まず20mg1日1回朝投与で開始し、効果と副作用を勘案して、40-60mgまで漸増するのが一般的です。効果判定には至適投与量で4-8週間はみる必要があります。また重篤な肝機能障害のある場合には禁忌で、投与しないこと、また肝機能障害がある場合にはとくにアルコールと併用は肝障害を悪化させる恐れがあります。また腎不全がある場合には慎重に投与すべきで、クレアチニンクリアランス30mL/min以下では投与を避ける禁忌となります。
 症状の寛解後は、経過や病状に応じて4-12ヶ月間は継続投与する必要があります。
 さらに投与中止時は少なくとも2週間以上かけることとなっていますが、臨床的には2-3ヶ月以上かけて漸減するのがよいと思います。
 以上まとめますと、デュロキセチンはわが国では二番目のSNRIで、ミルナシプランやベンラファキシンよりもモノアミントランスポータに対する親和性が高く強力で、セロトニンとノルアドレナリンをバランスよく取り込み阻害す薬剤です。臨床試験の結果からは抑うつ気分、仕事と活動、精神運動抑制などへの効果が優れていて、身体的痛みの症状にも有効です。安全性に関しては、消化器系の副作用が主で、activation syndromeや中止時症候の発現頻度は低く、心循環系への影響(血圧、脈拍)は少なく、体重増加、性機能障害はSSRIより少なく、用法・用量としては1日20mgから開始して40-60mgへ漸増します。このようにうつ病治療におけるファーストラインの抗うつ薬と位置づけられますが、他の抗うつ薬との比較、わが国の臨床での有用性と位置付けに関してはさらに検討が必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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