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<スズケンDIアワー> 平成22年4月1日放送内容より スズケン

糖尿病治療薬 高用量メトホルミン塩酸塩


東京医科大学 内科学第三講座 主任教授
小田原 雅人

icon 日本におけるメトホルミン投与量

 このように、エビデンスのあるメトホルミンですが、残念ながら我が国での使用量というのは世界的に見ますとかなり限定されています。それの一つの原因として、メトホルミンの平均投与量が低いことがあります。
 日本で行われましたMORE試験の結果を見ますと、日本でのメトホルミンの平均投与量は500mgにすぎません。これは欧米の1/3程度ということになります。
 なぜこういうことが起こっているかと言いますと、日本と欧米で承認最高投与量に大きな差があるからです。これまで、日本では750mgと250mg錠が3錠しか1日に投与が認められていませんでした。それに対して、米国では2550mg、欧州では3000mgまで投与が認められています。
 メトホルミンは、少なくとも2gまでは用量依存性に空腹時血糖及びヘモグロビンA1cの低下が起こるということがわかっています。すなわち、用量が限定的な日本では、高用量の投与が可能であった欧米と比べて、ヘモグロビンA1cの低下度がかなり限られることが、これまで十分、メトホルミンの効果が認識されなかった原因のひとつとなっています。
 幸い、日本におきましても、高用量の臨床試験が行われました。その結果は極めてすぐれたもので、用量依存性に血糖値の低下が認められています。

icon メトホルミンの用量反応試験成績から

血糖コントロール

 用量反応検討試験において、プラセボ群とメトホルミン750mg投与群、1500mg投与群の比較がなされていますが、空腹時血糖値はプラセボ群で4.8mg/dL上昇したのに対して、750mg投与群では18.3mg/dL低下、1500mg投与群では28.3mg/dL低下という用量依存性の空腹時血糖の低下効果が認められました。
 また、ヘモグロビンA1cにつきましても、プラセボ群で0.3%上昇したのに対し、750mg投与群で0.7%低下、1500mg投与群では1.1%と用量依存性のヘモグロビンA1c低下効果が確認されました。

HbA1cの推移(単独投与:全投与量)

 また、54週の用量反応検討試験結果によりますと、メトホルミンを1日用量500mg、分2から開始し、維持量が1500mg分3まで増量しています。それから11週以降になると、効果が不十分な場合は2250mg分3にまで増量する試験デザインになっています。投与期間は54週間です。
 この試験では、投与開始時のヘモグロビンA1cは7.3%でしたが、投与後2週間から有意にヘモグロビンA1cの低下効果が認められ、その効果は54週まで持続し、途中で再上昇するような結果は得られていません。結果として5.9%まで低下しました。つまり、7.3%から5.9%という極めて良好なヘモグロビンA1cの低下効果が認められたわけです。

体重変化量の推移

 一方、体重の増加もしくは体重が減らないということは、長期的な血糖のコントロール、長期的な合併症の予防上、余り望ましくないことがわかっています。特に体重増加を来しやすい薬の場合は、長期予後に対して悪影響を与える可能性があります。メトホルミンは体重に対して良い効果があることが内外のデータで明らかになっています。例えば、UKPDSでは、ほかの群(SU薬やインシュリン群)と比べ、メトホルミン群では体重がほとんどふえていない。特に食事療法群とほぼ同じ体重であったことから、この体重の変化の差が良い結果を生んだ原因と考えられます。
 今回行われた国内での用量反応検討試験によりますと、体重は当初やや横ばいから少し増え気味でしたが、その後低下し、26週から優位な体重減少が認められました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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