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<スズケンDIアワー> 平成22年4月15日放送内容より スズケン

DI実例集(167)注射薬の配合変化


愛媛大学医学部附属病院 薬品情報室室長
田中 守

icon 脂肪乳剤の配合変化

 次に脂肪乳剤の配合変化について述べます。

脂肪乳剤の配合変化等

 NSTが充実してきた現在、脂肪乳剤が投与される例が増えてきています。我が国の脂肪乳剤の添付文書では「他剤との配合を避ける」と記載されています。しかしそれでは臨床現場ではどのよう対応すべきかには全く触れられておらず、不親切な内容です。例えばイントラリピッド®という製品は、海外の添付文書には「単独投与」または「配合投与」の2つの投与方法が記載されています。前者の場合においても糖質やアミノ酸との同時投与する際には、輸液セットの側管であるYサイトからの投与を行うよう明記されています。事前混合といわれるオールインワン方式についても、そのような投与方法があることを認めた記載もあります。
 側管投与を他剤との“配合”とみるならば禁忌と考えられますが、他剤との接触時間から考えると“配合”とは考えにくいでしょう。万が一、何らかの配合変化が起こって沈殿や混濁を生じても、脂肪乳剤の乳白色によって変化が確認できないのでそのまま投与される危険性があります。脂肪乳剤の配合変化をどのように情報提供すべきか、非常に苦慮している施設が多いのではないでしょうか?TPN製剤と脂肪乳剤をダブルパックすることで使用時に混合するミキシッド®がありますが、現在当院では採用されていません。当院では脂肪乳剤の単独ルートの確保が難しい場合、TPN製剤との同時使用に限っては、Yサイトからの投与を行うことは可能ではあると説明しています。しかし、脂肪乳剤はTPNで使用しているフィルター(0.22〜0.45μm)を通過しないので、輸液ファイルターの下部の側管から投与します。勿論、フィルターを使用でできないので細菌汚染に十分に注意を払う必要があります。また、メインのTPN製剤にはビタミン剤、微量元素、カリウム、Na製剤の配合はできるとしています。

icon データベースの構築

 病棟業務に重きが置かれるようになった昨今、我々薬剤師は注射薬の投与状況とその効果の確認は重要な責務であることは間違いのない事実です。そんな中、ベッドサイドで行われている輸液や注射薬の投与方法やルート管理が適切であるかどうか、配合変化を起こさないようなルートであるのか、またはどのような投与方法を推奨するべきか、より実践的な情報提供が求められています。そしてそれができるかどうかを、個々の薬剤師の経験と力量に委ねるのではなく、院内のシステムとして確立させておくことが重要ではないでしょうか。そのためには、日々の問い合わせ内容や処方例とその結果をきちんとデータベースとして蓄積し、活用できるようにしておかねばなりません。注射薬の配合変化に関するデータベースは、幾つかのメーカーから提供されているものの中でもフリーソフトとしてADMICSII®が参考になります。ADMICSII®は、配合変化情報のデータベースのみならず疑義照会のデータベース、NSTに関して注射薬・処方薬の処方支援機能をあわせもったソフトです。さらに、インターネット環境では新薬や配合変化情報の更新機能が備わっています。ADMICSII®を使用することで院内における日々の疑義照会をデータベース化して蓄積し活用することができます。
 現在、配合変化情報は、電子カルテ/オーダリングシステムのチェック機能として組み込まれているものがありますが、その使い勝手は決していいとは言えませんし、価格が高いという問題があります。また、できうるならば医師から受けた処方指示で薬剤師が、配合変化を考慮した的確な処方立案によって注射薬オーダー(支援)を行うことが望まれます。そのために、より良くは国内の医療機関で得られている配合変化事例を、誰もが参照できるようなデータベースの環境整備が必要とされています。

参考文献
1)倉本敬二,山本公信,東海林徹ほか:ドルミカム注の配合変化回避法,静脈経腸栄養,9,59−64(2004)

 

提供 : 株式会社スズケン



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