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<スズケンDIアワー> 平成22年4月22日放送内容より スズケン

日本薬学会第130年会


順天堂大学大学院 (文科省)スポートロジーセンターセンター長・教授
河盛 隆造

icon GLP-1のさまざまな作用

 GLP-1は腸管ホルモンです。食後に腸より分泌されます。そしてこのGLP-1は、膵臓に働き、食後の瞬時のインスリン分泌を促す可能性があります。同時に、膵α細胞からのグルカゴン分泌を何らかの機序により抑えている可能性があります。それから脳に働き、食欲を抑制する、神経細胞の保護作用がある、あるいは胃・十二指腸の蠕動運動を低下させ、胃内容物が瞬時に腸に流れないようにする、以上のような効果が認められております。
 ことし(2010年)1月に、私どもはDiabetes誌に発表いたしましたが、GLP-1が直接的にマクロファージに働き、その効果を抑制し、血管内細胞を保護し、結果的に動脈硬化症を防ぐ、これをエキセナチドでの人での投与量と同等量をApoEノックアウトマウスに投与することによって証明いたしました。すなわち、GLP-1には動脈硬化症を防ぐ働きもあると期待されております。

GLP-1は、膵β細胞機能維持、増殖に必須である

 もう一つ、私どもが期待しておりますことは、GLP-1とインスリンが共同して、インスリン分泌細胞であるβ細胞の増殖能の維持、加えて細胞のアポトーシスを防止する、すなわちGLP-1は膵β細胞機能を維持する、β細胞の増殖に必須のホルモンである、このようなことも研究の中で証明してきております。GLP-1の注射による2型糖尿病患者への補てんは、結果的に糖尿病の方の膵β細胞の機能を長年にわたって維持する、あるいは低下してきた膵β細胞機能を改善するのではないか、と期待しています。
 新しく、GLP-1アナログであるリラグルチド(商品名ビクトーザ)が登場いたしました。これは注射です。1日1回注射することになります。しかし、インスリン療法と異なり、はるかに簡便です。すなわち、投与量を調整する必要がなく、一定量を注射していくということになります。

icon リラグリチドの国内臨床試験成績

 では、日本でのリラグリチドの治験成績はどうだったでしょうか。

HbA1cの推移:リラグルチド単独療法

 例えば、HbA1cが8.0から8.5%程度である。このような症例に対して、1群はリラグリチドが1年間にわたり注射されました。対象群はグリベンクラミドです。よく使われているSU薬を用いました。すると、比較的速やかにリラグリチド投与群ではHbA1cが7%程度にまで約1ポイント降下しました。一方、グリベンクラミド投与群では、1年間にわたるHbA1cの低下率はさほど大きくありませんでした。1年後では0.5%のHbA1cの差がついたという成績が出ています。かつ、その際の最初から1年後のHbA1cの低下率は、リラグリチド群で1.48%、グリベンクラミド群では0.95%でした。

HbA1cの目標達成率

 HbA1c6.5%未満に達成したのはリラグリチド群で約20%、グリベンクラミド群では8%、7%未満を到達したのはグリベンクラミド群では18%であったのに対し、リラグリチド群では37%に増加いたしました。そして、注目すべきは体重で、リラグリチド群ではHbA1cが約1.5%低下したにもかかわらず、体重は0.8kg減少しました。一方、グリベンクラミド投与群では、約1kg増加しました。低血糖、症例1例当たり1年間の発現件数を見ますと、リラグリチド群では重大でない低血糖、低血糖症状合わせまして0.6であったのに対し、グリベンクラミド群では、計約4でした。

 

提供 : 株式会社スズケン



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