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<スズケンDIアワー> 平成22年4月22日放送内容より スズケン

日本薬学会第130年会


順天堂大学大学院 (文科省)スポートロジーセンターセンター長・教授
河盛 隆造

icon GLP-1注射とSU薬の相乗作用

膵β細胞におけるインスリン分泌メカニズム

 SU薬の作用が不十分のときにも、リラグリチドの注射が認められております。SU薬とインクレチンによるインスリン分泌作用にはその作用機差が異なります。すなわち、SU薬とGLP-1注射は相乗的にインスリン分泌を高める作用がございます。

HbA1Cの推移(リラグルチド+S薬併用)

 日本におきましても、SU薬が投与されていてコントロールが不十分である症例について、1年間にわたり、リラグリチドをSU薬とともに使う群と、リラグリチドのプラセボを投与して、結果的にSUのみを投与した群での検討が行われております。いずれも開始時のHbA1cは8.0から8.5%程度でしたが、リラグリチド0.6mg/日、あるいはリラグリチド0.9mg/日、それにSU薬を投与した群では、速やかに作用し、結果的には4週間後、8週間後にHbA1cは1%近く低下し、そのレベルを維持しました。一方、プラセボとSU薬群では、HbA1cの低下は強くは認められませんでした。
 そして、1年間にわたり、リラグリチド投与群では、HbA1cは1.1から1.3%低下したのに対し、リラグリチドのプラセボとSU薬群では、その低下は認められませんでした。

HbA1cの目標達成率

 その結果、HbA1c6.5%未満を到達したのは、リラグリチド0.9mg注射とSUの併用群では約38%に達したのに対し、SU薬単独では4.5%にすぎませんでした。
 体重は、リラグリチド注射群では増加が全く認められませんでした。低下も認められませんでした。しかし、SU薬群では約1kgの体重減少が認められました。これは糖尿病の悪化による可能性もございます。
 一方、低血糖の頻度を考えてみますと、SU薬にリラグリチドが投与された場合は、1年間にわたり、患者1人当たり、低血糖の回数は約1.4回、低血糖症状がさらに1.6回ですから、合わすと1年間に患者1人で3回低血糖の症状が見られたということになります。

低血糖(週毎の割合)

 リラグリチドとSU薬が併用されたときには、血糖値の改善、HbA1cの改善が認められますが、低血糖も起こるということは、やはり注意する点があろうかと思います。
 さらに特記すべきことは、リラグリチド開始の早期に、具体的には1週間、2週間、4週間以内に低血糖がかなりの頻度で認められたという報告もございます。したがいまして、最初にリラグリチドの注射を開始する際には、やはりSU薬の投与量を少々減量してから行う、そして効果を見ながらSU薬投与量を調整していく、そのような調整も必要ではないかと考えております。
 このように、リラグリチドは注射です。しかし、インスリン製剤と異なる点は、その投与量を調整する必要がないということです。1日、最初は0.05mL、やがて0.1mL、0.15mLを注射していただくだけで、そして主治医はSU薬や他の糖尿病薬の投与量を調整していくことになります。果たして、SU薬の効果が不十分な例に、インスリン注射と、このようなGLP-1の注射薬のどちらがいいのか、などの点は今後検討されていくことになります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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