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<スズケンDIアワー> 平成22年5月6日放送内容より スズケン

小児用7価肺炎球菌結合型ワクチン


国立病院機構三重病院 国際保健医療研究室長
中野 貴司

icon 肺炎球菌の発見とワクチン開発に歴史

 細菌性髄膜炎など肺炎球菌によって起こる重症疾患は、特に年少の子どもたちにおいて頻度が高いのです。これらの病気から子どもたちを守るワクチン、小児用7価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー®)が、わが国でも本年2月から接種できるようになりました。今日はそのワクチンのお話です。
 まず、肺炎球菌の発見とワクチン開発の歴史を紹介します。肺炎球菌が病原体として認知されるようになったのは、1880年代です。その後、莢膜多糖体が肺炎球菌の病原性、さらには個体の防御免疫とも深い関係があり、そしてそれは多糖体の血清型によって特異的なものであることもわかってきました。
 1940年代になると、ペニシリン製剤が臨床の現場で広く用いられ、素晴らしい治療効果をあげました。その時代背景を反映して、肺炎球菌ワクチンの開発に携わる研究者は大いに減りました。しかし、1967年にはペニシリンに耐性を示す肺炎球菌の存在も報告され、ワクチン開発の機運が再度高まったのです。
 1970年代後半に、南アフリカの金鉱で働く成人を対象とした臨床試験で、肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンの予防効果が報告されました。23価多糖体ワクチンは、1983年に米国で承認され、わが国でも1988年から発売されました。23価多糖体ワクチンの有効性は多くの研究により示されていますが、いくつかの課題も存在します。T細胞非依存性抗原であるために、年少児では十分な免疫を誘導できないことや、免疫学的メモリー機能を誘導できない点などです。

肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンの課題

 本日のお話のテーマである結合型ワクチンは、これら多糖体ワクチンの課題のいくつかを克服しました。乳児に対しても十分な免疫原性があり、生後2カ月から接種が可能です。また、基礎免疫後の追加接種によりブースター効果が認められ、メモリー機能を誘導することも確認されました。
 7価肺炎球菌結合型ワクチンは、7つの血清型の肺炎球菌莢膜多糖体を、キャリア蛋白である無毒化したジフテリア毒素蛋白(CRM197)に結合させて混合したワクチンです。含有される血清型は4、6B、9V、14、18C、19F及び23Fです。アジュバントとしてリン酸アルミニウムを含有しますが、アルミニウム塩はDPTやB型肝炎など国内の他のワクチンでも使われています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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