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<スズケンDIアワー> 平成22年5月6日放送内容より スズケン

小児用7価肺炎球菌結合型ワクチン


国立病院機構三重病院 国際保健医療研究室長
中野 貴司

icon 7価肺炎球菌結合型ワクチンの効能・効果

 7価肺炎球菌結合型ワクチンの効能・効果は、「7つの血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症の予防」です。肺炎球菌による侵襲性感染症は、IPD(invasive pneumococcal disease)と総称されます。IPDとは、肺炎球菌が身体の内部まで侵入する重篤な感染症のことで、脳脊髄液や血液など元来は無菌状態である部位から肺炎球菌が分離されます。具体的には、肺炎球菌による細菌性髄膜炎、菌血症、関節炎、骨髄炎、血液培養陽性の肺炎などであり、生命や後遺症にかかわることもしばしばです。その一方で、肺炎球菌は気道の常在菌でもあり、保菌していても必ずしも症状がでるわけではありません。皮膚や粘膜のバリアが破綻したり、体力や免疫力が低下すると発症の引き金となります。年齢別では、乳児など年少の子どもたちは、最もIPD罹患のリスクが高いのです。

肺炎球菌表面の莢膜多糖体と食細胞による貪食

 肺炎球菌の菌体周囲に存在する莢膜は、好中球やマクロファージなど宿主の貪食細胞に抵抗するはたらきがあります。すなわち、莢膜多糖体により肺炎球菌は食細胞の貪食からわが身を守り、体内で増殖し病原性を発揮します。しかし、莢膜多糖体に対する抗体が血中に存在すれば、抗体さらには補体が結合し、肺炎球菌は容易に貪食され、生体内から排除されます。これが、個体が肺炎球菌感染による疾患を防御する免疫の機序です。多糖体はT細胞非依存性抗原で、B細胞を直接刺激します。しかし乳児のB細胞は未熟で、多糖体抗原の刺激に対する免疫応答が十分ではありません。そのため、多糖体ワクチンでは乳児に免疫を付与することができないのです。しかし、キャリア蛋白を結合させることにより、多糖体はT細胞依存性抗原に変換され、乳児に接種しても良好な免疫反応を誘導することができます。すなわち、結合型肺炎球菌ワクチンを接種すれば、乳児でも莢膜多糖体に対する抗体が産生されるのです。

icon ワクチンの接種スケジュール

7価肺炎球菌結合型ワクチンの接種スケジュール

 7価肺炎球菌結合型ワクチンの接種対象は、生後2か月以上9歳以下の小児です。通常は、生後2か月齢以上7か月齢未満の小児に対して、27日間以上の間隔を開けて3回接種し、3回目接種から60日間以上の間隔を開けて1回の追加接種、すなわち計4回で接種が完了します。接種開始月齢が年長になるにつれて、定められた接種回数は少なくて済むようになりますが、基本的には乳児早期からの接種を心がけることが大切です。なぜなら、髄膜炎をはじめとするIPDは、乳児や低年齢児で頻度の高い疾患であり、病気に罹ってしまう前に予防することがワクチン本来の目的だからです。
 医師が必要と認めた場合は、7価肺炎球菌結合型ワクチンを他のワクチンと同時に接種することが可能です。ただし、他のワクチンと1本の注射器に混合して接種してはいけません。海外ではDPTやHibワクチンとの同時接種がもっとも頻繁に行われています。わが国の管針法のBCGや経口生ポリオワクチンは、海外の先進諸国では通常は用いられてないので、7価肺炎球菌結合型ワクチンと同時接種した場合の安全性や有効性に関するデータがあまり入手できないのですが、理論的には同時接種が可能です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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