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<スズケンDIアワー> 平成22年6月10日放送内容より スズケン

ARB・カルシウム拮抗薬配合剤オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン


熊本大学大学院生命科学研究部 循環器病態学 教授
小川 久雄

icon OSCAR Studyについて

 私達は現在OlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized (OSCAR) studyを行っています。この研究は糖尿病または心血管疾患を有する65歳以上85歳未満の高齢高血圧患者をスクリーニングし、RA系阻害薬を投与し、それでも血圧コントロールが不十分の場合にRA系阻害薬を増量すべきかCa拮抗薬を追加投与すべきかを検討する試験です。

OSCAR Study

 はじめにオルメサルタン20mgを投与し、その認容性および血圧を確認し、さらに降圧が必要な患者1,164人を無作為にオルメサルタン増量群578人あるいはCa拮抗薬追加群586人に分けて3年間追跡を行ものです。その後、オルメサルタン増量群あるいはCa拮抗薬追加群において血圧コントロールが不十分の時はRA系薬、Ca拮抗薬以外の内服薬を追加投与します。2005年6月から2007年5月に症例のエントリーを行い現在追跡調査中であり、2010年には追跡を終える予定である。この結果からイベント発症の多い高齢者でRA系阻害薬単独増量療法とRA系阻害薬+Ca拮抗薬の比較に関して一つの結論が出ると考えられます。

icon 配合剤の有用性

 高血圧がコントロールできない症例では、目標血圧に近付けるためには2剤以上の治療薬の併用が有用ですが、その一方で、降圧治療を行う際に適切な血圧管理を妨げる要因の一つとして、併用薬剤数の増加によるアドヒアランスの不良があげられます。海外では、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とCa拮抗薬、ARBと利尿薬、ARBとCa拮抗薬など様々な配合製剤が使用されており、配合製剤の処方による併用薬剤数の減少がアドヒアランスを向上させることが報告されています。したがいまして、日本においても配合製剤を使用することは、アドヒアランスを維持し、良好な血圧管理を行うための有用な手段になると考えられます。
 オルメサルタンは、他のARBに比べても優れた降圧効果を示すことが報告されています。また、アゼルニジピンは長時間作用型のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬であり、同じくジヒドロピリジン系Ca拮抗薬であるアムロジピンと同等の降圧効果を示すことが報告されています。
 我が国においては、欧米に比し冠攣縮(coronary spasm)の頻度が高いこと、さらに冠攣縮が急性心筋梗塞発症や不安定狭心症の原因となりうることが知られています。カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)は冠攣縮に対して最も有効な薬剤であり、冠攣縮を持つ患者の心血管イベント抑制には第一選択になります。私達は、冠攣縮の頻度が高い日本人において心筋梗塞後の心血管イベント抑制にCa拮抗薬が有効なのか、欧米のようにβ遮断薬が有効なのかを比較するJBCMI (The Japanese βblockers and Calcium antagonists Myocardial Infarction) studyを多施設共同研究として行いました。急性心筋梗塞患者1,090例を対象として、545例はCa拮抗薬投与群に、545例はβ遮断薬投与群に割り付けられました。

総心血管系事故発生率

 平均観察期間455日において、心血管系死亡、再梗塞、再入院を要する不安定狭心症、非致死性脳梗塞、心不全の発生を心血管イベントとした発生率は、β遮断薬投与群がCa拮抗薬投与群に比較して高く出現しました。不安定狭心症の中の冠攣縮によるもの(7例vs 1例, p=0.0271)はβ遮断薬投与群がCa拮抗薬投与群に比較して高かったですが、他のイベント発生に関しては両群間に差を認めませんでした。以上より、日本人は欧米人に比較して心筋梗塞後の予後がよいこと、日本人においては心筋梗塞後には必ずしもβ遮断薬がCa拮抗薬より有効とはいえないこと、またβ遮断薬の投与法に工夫が必要であること、すなわち心不全を引き起こす可能性のある症例に対しては少量から開始し漸増していく投与法が重要であること、が明らかとなりました。また、高血圧患者を対象としたASCOT-BPLA試験においてもCa拮抗薬がβ遮断薬に比較して心血管イベント抑制効果が高い事が明らかにされています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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