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<スズケンDIアワー> 平成22年7月1日放送内容より スズケン

帯状疱疹後神経痛治療薬プレガバリン


順天堂大学麻酔科学・ペインクリニック講座 先任准教授
井関 雅子

icon 帯状疱疹後神経痛とはどのような痛みですか

IASPの定義

 知覚低下とともに異痛症(アロデイニア:触ることが変調されて伝わり痛みを感じる)を伴うことが多い。痛みかの性質は、はいろいろ。間欠痛から持続痛。電撃痛から鈍痛。焼けるような痛みから針でさされるような痛み、ぎゅっと絞られているような痛み、表面の痛みから深部の痛みまで、1人の患者でも複数の痛みを持つことがある。病態としては、神経障害性疼痛に分類されます。
 神経障害性疼痛とは、国際疼痛学会において、「体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛」と新たに定義され、感覚機能および体性感覚障害の客観的検査の所見に基づいて診断が確定し(Definite)、その他は、神経障害性疼痛の要素が含まれている(Probable) 、可能性が低い(Possible)、という3段階で評価されています。神経障害性疼痛の薬物療法として、欧米では、有効性と安全性のバランスからアルゴリズムが作成されている。抗てんかん薬、抗うつ薬、局所作用薬、オピオイド、NMDA受容体拮抗薬などが列挙されているが、実際には、さまざまな疾患が含まれているため、薬物療法の治療効果も均一ではない。また、個々の患者持つ痛みの性状も考慮して、年齢や全身状態に応じた薬剤の選択が望ましいと考えます。

icon 帯状疱疹後神経痛の痛みの発生機序

神経障害性疼痛では何が生じているか?

 一元的には、言えませんが、1)組織損傷後の侵害受容器の感作から、自発放電が生じて、過剰興奮となり、脊髄やさらに中枢にまで、感作が拡大したための疼痛、2)水痘帯状疱疹ウイルスによる神経炎症から末梢神経障害が生じ、求心性神経細胞の消失により中枢神経細胞が自発的興奮の状態となった求心路遮断痛、3)交感神経系の関与、などが考えられています。従って、脊髄の異常興奮や感作を抑制する薬剤は、帯状疱疹後神経痛の痛みの緩和に有用であると考えられます。

icon これまで使用されてきた抗てんかん薬

 抗てんかん薬に鎮痛作用があることは古くから知られていましたが、カルバマゼピンなどの旧世代抗てんかん薬は副作用の多さや有効治療域の狭さなどが臨床使用において問題でありました。
 近年、神経障害性疼痛の病態が徐々に解明され、抗てんかん薬の有効性が再認識される中で、旧世代抗てんかん薬に比べて少ない副作用で優れた鎮痛効果が得られる新世代抗てんかん薬が開発されたことによって、神経障害性疼痛治療における抗てんかん薬の位置づけが変わってきております。実際に新世代抗てんかん薬のひとつであるプレガバリンは、海外のガイドラインにおいて神経障害性疼痛治療の第1選択薬として位置づけられており、本邦でも、帯状疱疹後神経痛の治療薬として発売されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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