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<スズケンDIアワー> 平成22年7月15日放送内容より スズケン

DI実例集(168)医薬品血管外漏出への薬剤師の役割


鳥取大学病院薬剤部医薬品情報管理室 主任
小川 勝弘

icon 血管外漏出への対応

 血管外漏出への対応についてご説明いたします。

血管外漏出への対応

 まず、刺入部周辺の疼痛、皮膚の腫脹、点滴滴下不良など血管外漏出を疑う症状を認めた場合は、慌てず薬剤の滴下を中止し、医師に連絡します。穿刺部位より血液を約5mL程度吸引し、残存する薬剤の除去を行った後抜針します。壊死性の抗癌剤や多量の炎症性抗癌剤が漏出した場合は、ステロイド及びリドカインを生理食塩液で5mL程度に調製し、漏出部位よりも大きめの範囲で、漏出部位の中心方向に向けて数カ所に局所皮下注射を行っていきます。ただし、漏出した抗がん剤の種類、濃度、量、経過時間に応じてステロイドの濃度や総量、注射範囲を適宜拡大する必要があります。外用処置としては患部にステロイド軟膏を塗布し冷湿布を1日2回実施します。シスプラチン、アクチノマイシンDなどの漏出に対しては、中和作用を持つチオ硫酸ナトリウムを局所注射することにより、皮膚毒性の改善が期待できます。経過中水疱、潰瘍形成、皮膚の色が不良になってきた場合は皮膚科にコンサルトし、場合によってはデブリードメントや植皮を考慮する必要もあることから、漏出後の経過観察は非常に重要なため、漏出時に関する記録や報告はきちんと行っておく必要があります。抗癌剤以外の薬剤に関しては各薬剤の特徴により対応も異なります。強アルカリ性薬剤の場合、pHの低い局所麻酔薬を選択し、血管収縮薬の場合、血管を拡張させるため局所は温め、場合によってはα遮断薬の皮下注射も考慮します。プロポフォールの場合は漏出部位を温め吸収を促進させます。

icon ガベキサートの適正使用に向けた取り組み

 2009年8月には財団法人 日本医療機能評価機構からガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出に関する医療安全情報が報告されました。

ガベキサートの適正使用に向けた取り組み

 その内容は、高濃度で投与すると血管内壁を障害することがあるため、抹消血管から投与する際には、輸液の濃度を0.2%以下にすること、とあります。0.2%を超えて投与した場合は静脈炎など生じやすく、場合によってはステロイドの局所投与が必要となるケースがあります。また、漏出したことで投与部位などに壊死が生じることもあり、漏出を予防すること及び適正な濃度で投与することが最も重要となってきます。本院では、ガベキサートを適正に使用するために、次に述べる対策を講じてきました。まず、医師が電子カルテよりガベキサートを入力する際、「濃度注意!! 末梢血管から投与する場合、0.2%以下に希釈のこと(高濃度で静脈炎、潰瘍・壊死)」と表示しました。また、薬剤部では注射薬個人別セットを行っていることから、注射処方箋の鑑査時にガベキサートの調製濃度チェックの徹底を図っています。その結果、0.2%を超えて投与される症例は顕著に減少し、さらに血管外漏出は1例も認めていません。このように、皮膚障害を未然に防ぐためにも、適正な濃度で投与されているか薬剤師がきちんとチェックすることが重要であると考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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