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<スズケンDIアワー> 平成22年8月19日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(31)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon レザルタス配合錠とエクア錠の薬価算定根拠

レザルタス配合錠の薬価算定表

エクア錠の薬価算定表

 次は、レザルタス配合錠です。有効成分は、オルメサルタン メドキソミルとアゼルニジピンの配合剤で、第一三共の開発です。オルメサルタン メドキソミルは、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を、アゼルニジピンは、カルシウムチャンネル遮断作用を有し、「高血圧症」を効能・効果とします。薬価算定は、内用配合剤の薬価算定の特例ルールに従い行われ、具体的には、本剤の場合には配合2有効成分のいずれにも自社品があるため、自社品、すなわちオルメテック錠とカルブロック錠の薬価の合計の0.8倍が薬価とされました。
 次は、エクア錠です。有効成分は、ビルダグリプチンで、ノバルティスファーマの開発です。ビルダグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害作用を有し「『食事療法、運動療法のみ又は食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤の使用』による治療で十分な効果が得られない場合の2型糖尿病」を効能・効果とします。薬価算定は、薬理作用が同一で、効能・効果等が類似するシタグリプチンリン酸塩水和物の製剤である萬有製薬のジャヌビア錠及び小野薬品工業のグラクティブ錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で行われました。ただし、ジャヌビア錠等の1日薬価の算出に当たっては、1日100mgまで増量できることを踏まえ、実際の平均投与量を58.4mgと想定して、この用量に対する薬価を1日薬価としました。

icon メトグルコ錠とアフィニトール錠の薬価算定根拠

メトグルコの薬価算定表

アフニトールの薬価算定表

 次は、メトグルコ錠です。有効成分は、メトホルミン塩酸塩で、大日本住友製薬の開発です。メトホルミン塩酸塩は、肝の糖新生抑制作用、腸管からのグルコース吸収抑制作用及び末梢での糖利用促進作用を有し、「『食事療法、運動療法のみ又は食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤の使用』による治療で十分な効果が得られない場合の2型糖尿病」を効能・効果とします。薬価算定は、同一有効成分、同一効能、同一剤型の製剤が薬価基準に収載されていますが、薬価収載が昭和36年12月と薬価収載後10年以上を経過し、かつ、後発品が収載されており、新薬算定上の類似薬とならないことから原価計算方式により行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は、同一有効成分の既収載品について、欧米において認められている投与量まで増量可能としたものであり、特段、革新性が高いとは言えないが、わが国ではフェンホルミン塩酸塩の重篤な副作用の問題からメトホルミン塩酸塩の投与量が制限されていたところ、今般、本剤投与群が640例の国内臨床試験を行い日本人に対する有効性及び安全性を確認したことから、減算率を5%にとどめることとされ、平均的な営業利益率マイナス5%の営業利益率、すなわち18.2%を用いることとされました。本剤については、中医協総会において、本質的には非常に古い薬でありながら、新薬扱いとされることから1年間は長期投薬ができないことが指摘され、今後薬価専門部会で検討することとされました。
 次は、アフィニトール錠です。有効成分は、エベロリムスでノバルティスファーマの開発です。エベロリムスは、腫瘍細胞増殖抑制作用及び血管新生抑制作用を有し、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果とします。薬価算定は、同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は、現在有効な治療法のない「スニチニブ又はソラフェニブによる治療後に増悪した根治切除不能又は転移性腎細胞癌患者」に対して無増悪生存期間の延長効果が国際共同第V相試験において示されているものの、同一成分の既収載品(サーティカン錠)が存在し、革新性が高いとは言えないことから、限定的な評価とされ、平均的な営業利益率プラス10%の営業利益率、すなわち21.1%を用いることとされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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