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<スズケンDIアワー> 平成22年8月26日放送内容より スズケン

第58回日本化学療法学会総会


長崎大学大学院感染免疫学 教授
河野 茂

 第58回日本化学療法学会総会学術講演会は、去る6月2日から4日までの3日間、西洋医学発祥の地とされる長崎市にて、長崎ブリックホール他3施設で開催されました。開催に当たり日本化学療法学会の理事、評議員の先生方でプログラム委員会を構成し、準備を進めました。
 以下に概略ですが、お話しさせていただきます。

icon メインテーマについて

 日本化学療法学会は、化学療法に関係する知識の交流、研究の奨励、感染症に関する一般の啓発及びその治療法の普及、また新薬臨床試験に対する提言をおこなう事により、化学療法の研究の促進・発展を図る事を目的とした組織です。総会は年に一度、研究成果の発表及び討論を行う場です。

 今回の第58回総会では、「再び集え、化学療法の鳴滝塾へ」というメインテーマを掲げましたが、まずはこのテーマに込めた思いをお聞きください。
 先ほど「西洋医学発祥の地とされる長崎」と申し上げましたが、長崎は江戸時代唯一、海外に開かれた街で、様々な外国文化とともに西洋医学の情報が伝わってきました。オランダ商館医として来日した医師シーボルトも情報を伝えた一人です。
 特にシーボルトは私塾「鳴滝塾」を作り、高野長英をはじめ、二宮敬作、伊東玄朴ら日本の医学のさきがけとなった医師や研究者の教育に尽力しました。
 シーボルトから約30年後に赴任したオランダの軍医ポンペは、系統だった医学教育を長崎で開始しました。これを機会に、西洋医学が長崎から全国に広がっていく事となります。日本における西洋医学発祥の地、その象徴の一つが鳴滝塾なのです。
 当時まだ病原体はわかっていませんでしたが、感染症対策は重要なテーマでした。天然痘が死因のトップであり、コレラや梅毒は全て長崎から持ち込まれました。そのなかで天然痘に対する種痘ワクチンの開発も長崎から始まったのです。
 今回、長崎での開催に際し、江戸時代末期のこうした状況を踏まえて、古い伝統の中に大切なものを見出したいとの思いとともに改めて長崎から情報を発信したいとの思いから、メインテーマを設定しました。
 このテーマの元、化学療法の歴史を振り返るとともに、臨床試験・臨床研究の新たな方向性や新しい化学療法の可能性、そして「ぺラミビル」「ラニナミビル」などの新薬まで話題が及びました。
 総会では、2つの特別講演、6つの招請講演、9つの教育講演、19のシンポジウム、次代を担う若手研究者の方々によるセミナー、レクチャーと題した3つのセッションなどを開催しました。また250題に上る研究発表が行われ、それらのうち大変興味深い内容のものについては、推薦論文として学会誌に掲載する予定です。
 次に、いくつかの企画や発表について簡単に説明させていただきます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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