<スズケンDIアワー> 平成22年9月9日放送内容より |
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日本大学視覚科学系眼科学 准教授
山崎 芳夫
こちらは臨床試験における主な副作用です。上段が臨床試験時に使用されたベンザルコニウム塩化物含有製剤、下段がその後ベンザルコニウム塩化物含有製剤との同等性を評価した試験で使用され、今回日本で発売されたベンザルコニウム塩化物非含有製剤での成績です。いずれにおいても5%以上の頻度でみられた副作用は充血であり、これはトラボプロストに見られる副作用であります。他に眼局所の副作用はトラボプロストとチモロールに見られるものであり、それ以外に低頻度で全身性の副作用が見られました。これらはチモロール製剤で報告されているものです。このようにトラボプロスト・チモロールマレイン酸塩は配合剤にすることで新たな副作用はなく、それぞれの構成成分であるトラボプロストおよびチモロールに起因する副作用が認められました。 また、トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩の禁忌はこちらに示す症例です。すでに述べたように、トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩はβ遮断薬であるチモロールを含有するため、チモロールの禁忌が適応されます。緑内障薬物治療では、ここ数年はプロスタグランジン関連薬が第1選択となることが多く、また様々な作用機序の薬剤との組み合わせが可能になったことから、ここでもう一度チモロールの禁忌について確認しておくことは大事なことだと思います。まず、呼吸器系の疾患を持つ症例です。気管支喘息や、その既往歴のある患者、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者ではβ受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、喘息発作の誘発・憎悪が見られるおそれがありため禁忌です。また、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II、III度)、心原性ショックのある患者さんではβ受容体遮断による陰性変時・変力作用により、これらの症状を増悪させるおそれがあります。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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