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<スズケンDIアワー> 平成22年9月30日放送内容より スズケン

関節リウマチ治療薬 アバタセプト(遺伝子組換え)


産業医科大学 第一内科 教授
田中 良哉

icon 生物学的製剤の開発

関節リウマチの治療は?

 しかし、このメトトレキサートを中心とした抗リウマチ薬だけでは疾患活動性や関節破壊の制御は不十分であることがわかってきました。私たちの教室でも、メトトレキサートを使って治療を行って2年後に手や足の関節レントゲンを撮り直したところ、6割の方に関節破壊の進行が認められました。すなわち、このメトトレキサートだけでは関節破壊の制御が不十分であり、それを超える何らかの治療が必要であるということを多くの方々が認識してきました。

TNF阻害薬による関節リウマチの治療革命

 そこで出てきたのが、病態形成過程において中心的な役割を担うTNFやIL-6といったサイトカインを標的とした生物学的製剤です。本邦では抗TNFキメラ抗体;インフリキシマブ、可溶性TNF受容体免疫グロブリン融合蛋白;エタネルセプト、抗TNFヒト型抗体;アダリムマブ、抗IL-6受容体ヒト化抗体;トシリズマブが市販されています。これらの生物学的製剤は、抗リウマチ薬を3カ月以上継続して使用しても疾患活動性が低値にならない症例、あるいは関節破壊が進行する症例に使用します。その結果、リウマチの治療目標は単に痛みを取る、腫れを抑える、というだけでなく痛みや腫れもなく検査値異常もない、いわゆる臨床的な寛解、レントゲンにおいて関節破壊が進行しない構造的な寛解、日常生活の機能がそれ以上進行しない機能的寛解へと進化いたしました。臨床的寛解に関しては、TNF阻害薬とメトトレキサートを併用すると約3割から4割の人にもたらされることができました。ただ、3割から4割でありますので残りの方々にはどうするかという問題も残っております。

icon アバタセプトの登場

 そこで登場してきた生物学的製剤が、従来のTNFやIL-6などのサイトカインではなく、免疫系の司令塔であるT細胞を標的としたアバタセプトです。

CTLA4-Igアバタセプトの作用機構

 T細胞の活性化には抗原刺激とともに、共刺激シグナルが必須です。共刺激シグナルがないとT細胞はアポトーシスに陥ります。T細胞に発現するCD28は、抗原提示細胞上に発現するCD80、CD86をリガンドする代表的な共刺激分子です。
 一方、CTLA-4はCD28と同じリガンドを介してT細胞に負のシグナルを伝達します。このCTLA-4と免疫グロブリンの融合蛋白アバタセプト、これは抗原提示細胞上のCD80、86からの共刺激シグナルを阻害する、いわゆるT細胞活性化経路を標的とした生物学的製剤で、T細胞選択的共刺激調節剤といわれます。
 欧米では2005年、本邦ではことしの9月に市販されました。商品名はオレンシアで、体重60kg未満の方では500mgを初回、2、4週後に、以降、4週ごとに30分かけて点滴静注するという用い方をします。

 

提供 : 株式会社スズケン



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