<スズケンDIアワー> 平成22年10月14日放送内容より |
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山王メディカルセンター 女性医療センター長
太田 博明
既存のSERMであるラロキシフェンに加えて、新しいSERMであるバゼドキシフェン(商品名:ビビアント錠)が、閉経後骨粗鬆症の新たな治療選択肢としてこの度加わりました。 バゼドキシフェンの海外大規模第III相試験は、プラセボ対照及びラロキシフェン対照、多施設共同、無作為化二重盲検第III相試験であり、バゼドキシフェン20及び40mg投与群、ラロキシフェン投与群及びプラセボ投与群の合計4群における3年間の投与期間にて実施されました。各群は1800例以上にて、全体で約7500例の閉経後骨粗鬆症患者を対象としています。本試験は3年間のコア試験が終了した後、有効性及び安全性に関する長期のデータを得ることを目的として、投与期間を5年、さらには7年までとした延長試験を実施しています。全ての被験者に1000〜1200mg/日のカルシウム補助剤として炭酸カルシウム及び400〜800IU/日のビタミンDが投与されました。 有効性の主要評価項目である投与36ヵ月後の新規椎体骨折発現率に関して、バゼドキシフェン20mg投与群及び40mg投与群はそれぞれ2.3%及び2.5%であり、プラセボ投与群の発生率4.1%に比較して椎体骨折の累積発生率の有意な低下が確認されました。またバゼドキシフェン投与によるプラセボに対する相対的リスク減少率はそれぞれ42%と37%でした。 また、投与前大腿骨頸部骨密度のT-スコアが-3SD以下、または投与前に1ヵ所以上の中等度又は高度の椎体骨折または複数の椎体骨折が認められることを基準として特定した高リスク群に対して追加解析が実施されています。その結果、非椎体骨折リスクの高い被験者において、バゼドキシフェン20mgの投与により、非椎体骨折の発生率がプラセボ投与群と比べて50%、ラロキシフェン60mg投与群と比べて44%低下することが認められました。これらの低下はログランク検定により算出されたP値としてそれぞれP=0.020及びP=0.047と示され、統計学的な有意差が認められました。 国内の第II相試験はプラセボ対照、多施設共同、無作為化二重盲検、用量反応第II相比較試験で、バゼドキシフェン20mg投与群と40mg投与群、及びプラセボ投与群の合計3群の2年間の投与期間にて実施されました。全ての被験者に一日610mgのカルシウムと400IUのビタミンD及び30mgのマグネシウムが投与されました。投与104週後又は中止時の腰椎BMDの投与前からの変化率は、プラセボ投与群と比較してバゼドキシフェン20mg及び40mg投与群で有意に増加しました。 国内の第II相試験における有害事象の発現に関して、特に問題となる傾向は認められませんでした。また国内試験ではVTEの発現は1例も認められませんでした。
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提供 : 株式会社スズケン | ||||
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