→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成22年12月9日放送内容より スズケン

統合失調症治療薬 パリペリドン


横浜大学精神医学部門 教授
平安 良雄

icon パリペリドンの特徴

 パリペリドンの特徴は、ドーパミンD2受容体への高い親和性と、それを上回るセロトニン5-HT2A受容体への親和性をもっていることです。日本を含め世界各国で最も処方されている抗精神病薬の一つ、リスペリドンと同様に高い症状改善効果と安全性が期待できます。

非定型抗精神病薬の代謝・排泄プロファイル

 この図は非定型抗精神病薬の代謝・排泄プロファイルに関するデータを示したものです。
 パリペリドンは既存の抗精神病薬と異なり、肝代謝酵素による影響をほとんど受けない特徴をもっています。このため、肝代謝酵素の阻害や誘導作用のある他の薬と併用した場合においても血漿中のパリペリドン濃度が上昇することによる副作用のリスクや、逆に濃度が低下することによる症状再燃のリスクを抑制することが期待できます。元々統合失調症自体に個々人の特性がありますが、代謝における個人差の影響が少なくなることは薬物治療の面でメリットは大きいと考えられます。

薬物放出の制御システム

 パリペリドン徐放錠の2つ目の特徴として、OROS技術による徐放製剤化が挙げられます。
 パリペリドン徐放錠の内部は、パリペリドン成分の薬物層1と薬物層2、そしてプッシュ層の3層構造となっています。外側は硬い半透膜で覆われています。服用しますとこの半透膜を通して消化管内の水分を吸収し、錠剤内部のプッシュ層が水分を含んで膨張します。膨張が進むにつれて薬物層1と薬物層2のパリペリドン成分が徐々に二つの穴から放出されます。
 パリペリドン徐放錠は24時間かけて内部のパリペリドン成分をゆっくりと放出しますが、薬物層2は薬物層1に比べて濃いパリペリドン成分をもつため、後から段々と濃いパリペリドンが放出される特徴をもっています。これは吸収効率が上部消化管に比べて低い下部消化管でも放出するパリペリドンの濃度を高くすることで吸収量を補うためです。パリペリドン自体は通常の錠剤であれば約1時間で最高血中濃度に到達しますが、パリペリドン徐放錠はOROSを利用することで約24時間かけて最高血中濃度に到達する特徴をもちました。

血中薬物動態の経時的推移

 パリペリドン徐放錠と経口リスペリドン(分1投与)を比較した血中薬物動態のデータでは、経口リスペリドンに比べて、パリペリドン徐放錠は緩やかに血中濃度が上昇し、急激な上昇を緩和していることが分かります。パリペリドン徐放錠は定常状態に約4〜5日かけて到達しますが、これは従来薬に比べて速いと言えます。また、1日の中の薬物濃度の変動幅が小さい特徴ももっていることが分かります。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3 次項へ