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<スズケンDIアワー> 平成22年12月9日放送内容より スズケン

統合失調症治療薬 パリペリドン


横浜大学精神医学部門 教授
平安 良雄

icon 有効性について

平均PANSS総スコア

 パリペリドン徐放錠は、抗精神病薬としては国内で初めて、急性期の統合失調症患者を対象としたプラセボ対照試験で、第III相臨床試験を実施しています。急性期患者を対象とした6週間の試験で、中心用量6mgを固定用量として投与し、プラセボ群との比較を行いました。グラフにお示ししたように、有意に精神症状を改善することが認められました。
 海外では既に市販されており、実臨床下でパリペリドン徐放錠を評価する試験が行われています。ヨーロッパを中心に行われたこの多施設共同試験では、急性期患者を対象としてパリペリドン徐放錠の有効性を検証しています。ベースラインで被験者の平均PANSS総スコアは100を超えていますが、エンドポイントでは約70点まで改善しています。この結果から、約1カ月で退院を目指せるレベルまで症状が改善していることが示唆されます。また、平均PANSS総スコアは2日目から有意に改善しており、効果発現の速さも示唆されています。徐放製剤化によって無駄なく最高血中濃度に到達するのがこの薬剤の特徴で、効果を発揮するまでの速度が速いこと、また、安定した効果を得られる可能性があることをこれらの臨床データは示しています。

icon 安全性について

発現頻度5%以上の副作用

 国内の第III相臨床試験として行われたプラセボ対照二重盲検比較試験のデータでは、プラセボ群と比較すると、錐体外路症状、体重増加が多い傾向が見受けられます。尚、短期試験では盲検性を維持するためにプロラクチンの臨床検査値を治験医は知りません。頻度が高かったのは統合失調症と不眠症ですが、急性症状を有する被験者がエントリーしていたこと、そしてプラセボ群でも発現率が高いことを踏まえると、必然的な結果であると考えられます。

icon パリペリドンの適応

インヴェガ錠の特徴と臨床上の期待

 上記特性を踏まえ、パリペリドン徐放錠は経口剤の第一選択薬として期待できると考えます。

 日本をはじめとして諸外国でも統合失調症の急性期治療で第一選択薬として有効性・安全性の観点からリスペリドンが使われてきました。パリペリドン徐放錠はリスペリドンと同様に、幻覚・妄想などの陽性症状に対する高い効果が期待できます。加えて、パリペリドン徐放錠は血中薬物濃度の急激な上昇を抑えることで、漸増投与をすることなく、投与開始時から維持用量を投与できます。そのため、幻覚・妄想などの精神症状を速やかに改善することが期待されます。
 また、血中薬物濃度の急激な上昇を抑えることによって副作用を軽減でき、忍容性が向上するのではないかと期待しています。このことは治療初期に患者さんと医師の信頼関係を構築する上でプラスであると考えられます。アドヒアランスを早期に獲得することは治療予後を高める上でメリットがあると言えます。
 維持期においてパリペリドン徐放錠は安定した薬物動態を維持できるため、安定した症状改善効果と、高い安全性が期待されます。残存症状を軽減することができれば、より多くの患者さんの社会参加の貢献できると考えられます。また、用法面でもパリペリドン徐放錠は1日1回1錠で多くの患者さんの治療が可能となります。日々の服薬負担を軽減するという観点から、1日1錠で済むというのは患者さんやご家族に大きなメリットとして提案できると思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



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